本日2度目のまりもです。
先ほどは、ジェンダー × 国際比較でしたが、
今回は、昇進 × 国際比較をみてみましょう。
半沢直樹は、平成2年入社でドラマ時点で43歳らしいですね。
ということは、入社20年ですね。
日本では、20 歳代後半から40 歳代前半の「働き盛り」の男性で
「週に60 時間以上働いた」人は、各年齢層の2割ということですが、
きっとこの銀行のみなさんは、この2割の枠に入るでしょうね。
さて、昇進プロセスの国際比較によれば、日本はべらぼうに昇進までの期間が長いんですよ。
初めて昇進に差が付き始めるのが、
アメリカ 3.42年、ドイツ 3.71年に対し、日本は7.85年!
そして、昇進の見込みがない人が約5割に達するのが、
アメリカ 9.10年、ドイツ 11.48年なので、
33歳くらいになれば、昇進の見込みがあるかないかが明確になるわけですね。
では、日本はというと・・・なんと驚きの22.30年!!
43歳は、まさに5割に達する瀬戸際なわけですね。
それでもまだ5割の人には昇進の見込みがあるわけです。
とすると、当然小説は続いてるわけで、半沢は出向先からどう巻き返してくるのかが気になるところ。
こんなことも、社会学的考察のテーマになるんですよ。
ちなみに、「出向」もまた社会学のテーマになります。
一橋大学の博士論文でも、雇用関係ルールにおける社会学的考察がなされていますね。
それによると、
「雇用保障法理が機能しなくなりつつある現在、労働条件の不利益変更法理の不透明性の持つ意味は大きく、
雇用関係の一方の当事者である労働者は
極めて大きなリスクを負いながら雇用関係を継続していかなければならない状態にある」
のだそうです。
現実にはリスクを背負っている労働者だからこそ、
半沢の「倍返し」はカタルシスになるわけで、
むしろ現実の厳しさに目を開かされるドラマなのでした。