田んぼと方丈記。

田んぼと方丈記。

青い空が広がり、いい風が吹いています。
まさに新緑の季節。気持ちがいい日曜日です。
私、赤い実の実家は兼業農家で米も作っています。
幼い頃は、季節によって表情を変える水田と共に日々がありました。
そろそろ東北は田植えの時期です。
南部と北部では多少時期がずれますが、
適度な水の中で風にそよぐ青い苗が広がる頃です。
天候の変化に24時間神経を尖らせ、
早朝でも真夜中でも関係なく水位の調節に出かける父の姿が、
故郷を離れた今でも記憶の中にはっきり残っています。
手のかかる農業。
でも、だからこそ、簡単には離れられない。
田植えの時期を迎えた東北で、
きっと、いつもなら広がったはずの「当たり前の風景」
を頭に描きながら日々を過ごす農家の人々の思いはいかばかりか、
と心がいたみます。
さて、話題は変わって。
『方丈記』は日本三大随筆に数えられる名著ですが、
その中にやはり日本を襲った地震と津波についての記載があることは、
あまり知られていません。
今のようなテレビや新聞等無い時代に、
驚くほど詳細な調査を行った記録が残っています。
著者である鴨長明は、
隠遁者でありながら、
悟りもせず、「世を捨て切れなかった」人でした。
その点から様々な研究者が彼をテーマとして取り上げていますし、
評価も人それぞれです。
専門でもない私が言っても説得力は無いのですが、
鴨長明の面白さはまさに
「人間くさい隠遁者」
であったことだと思います。
世間から引っ込んでいながら、
様々なことに腹を立て、哀しみ、考える。
その感覚は、今の私たちにも必要なものです。
しかも、私たちは、世を捨てたりはしていない。
捨てたくなる時もあるけれど、そりゃあ。
古典が苦手だった人も、
こんなことを思い描きながら再読してみると、
興味深いかもしれません、『方丈記』。
「勉強に役立つ思考法」みたいなことを書こうと思っていたのに・・・。
長くなったので、それはまた次回。

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