オオカミなんかこわくない

オオカミなんかこわくない

こんにちは、バラックです。
「オオカミなんか怖くない」といっても3匹の子豚でもなく、赤ずきんちゃんご用心でもなく、オオカミに豹変する男の子を警戒するピンクレディ(あれ古いかな)でもありません。日本にもオオカミがやってくる(かも)というお話です。
オオカミはネコ目イヌ科イヌ属の動物(イヌなのにネコ目で一瞬びっくりしますが、何のことはない食肉目のことをネコ目というのです。何でだろう)で、童話に出てきたり様々なキャラクターにされたりと皆さんにもある意味でなじみのある動物だと思います。
なじみがあるとはいうものの、ニホンオオカミは1900年代初頭に絶滅してしまい、ニホンでは実際に野生のオオカミを目の当たりにすることはまずありません。オオカミは群を作る肉食獣で、人や家畜をおそったりして大変危険なうえ、狂犬病を媒介するおそれがある、ということで目の敵にされ、人間に駆逐されてしまった、というわけです。つまりかつての日本においてオオカミは害獣とみなされていたのですね。
さて、このオオカミ。実は日本で絶滅したオオカミをよみがえらせようという計画が一部で進行しています。よみがえらせるといってもクローンを作るなどというジュラシックパーク的なそれではなく、外国のオオカミをつれてきて日本の生態系になじませようという(これを再導入といいます)計画です。
この計画に賛成する人々によれば、現在の日本の山林は荒れに荒れておりバランスを欠いている。もしそこに生態系の頂点に立つオオカミを入れてやれば、生態系がうまく機能して調和のとれたバランスを取り戻す、というわけです。山林荒廃の原因の一つになっているシカやサル、イノシシなどの害獣がオオカミの補食行動によってうまく管理される、というのが彼らの計画の根幹にある考え方です。
実はこうしたオオカミの再導入は欧米ですでに行われており、ヨーロッパやアメリカではオオカミが絶滅した地域に新たにオオカミを根付かせ、バランスのとれた生態系の回復を試みています。日本でもこれをまねて、ニホンオオカミと近いとされるモンゴルの灰色オオカミをつれてこよう、ということのようです。
まだまだ議論をする余地がたくさんある話ですが、一般の人にこの話をすると多くの人が「怖い」という反応をします。肉食獣ですから当然の反応かもしれません。また山間の農村部でクマの害(熊害とかいてユウガイとよみます)におびえる人々にとっては、クマに加えてオオカミ!と。
欧米のオオカミ再導入の例でも、科学者は調和のとれた生態系の大切さを強調する一方で、地元住民はオオカミを忌み嫌い、彼ら自身を無視してすすめられた政策へのあてつけとしてオオカミを殺したりしているそうです。動物一つとってみてもいろいろな人の利害かからみ、科学的には最良の方法であっても現実には困難を極めてしまうのですね。
さて、長々と書いてしまいましたが、こうしたテーマも実は立派な社会学の研究対象となります。現在は環境問題に社会学的に取り組むという環境社会学という分野も確立していますし、社会科学のそれぞれの分野でも環境問題をテーマにすることができます。
中ゼミの社会学系のターゲット校にも社会科学の分野から環境について研究できるところがいくつもあり、法政大学の人間環境学部などでは中ゼミの社会学系の方が合格されています。現在はたくさんの大学で環境をテーマにした先生がいらっしゃいますから、環境推しで受験をするのも一つの方法ですね。
ちなみにもし本物のオオカミを見たければ、この近くだと多摩動物公園や羽村市の動物園で見られますよ。素人でかつネコ派の私からするとオオカミとイヌの区別がつきませんが・・・

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