文章編:第一章「はじめての大学編入」
「編入って難しそう」「編入なら楽に受かりそう」、編入については、このように両極端のイメージを持つ方がいます。あなたはどちらですか。
「編入って難しそう」と思っている人に。編入試験では短大生や私立大学生、専門学校生が、ときには通信教育部学生が、国立大学や東京六大学に合格しています。一般入試では手の届かなかった大学への合格を可能にするのが、編入試験です。
「編入なら楽に受かりそう」と思っている人に。大学の方がよく口にするのが「編入試験は答案を見れば勉強したかどうかわかる」ということ。つまり勉強していなければ白紙答案になることも珍しくありません。甘く見ては合格できません。全然勉強せずに「合格すればお得…」で受けて失敗する人の多いのが、編入試験なんです。
長年、多くの編入志望者に接していると、一般入試を経験してきた大学在学者に、大学名で見るためか「編入試験って難しそう」という人が多く、推薦入試などで進学した短大生に、先輩が多く合格しているためか「編入試験は楽だ」と思っている人が多いようです。
このように、人によってさまざまな印象を持っている編入試験。編入試験とはどういうものなのか、具体的にしていきましょう。編入試験に合格するための第一歩は、まず、編入試験について知ることから始まるのです。
第一章「初めての大学編入」<目次>
編入ってそもそもどういう制度?
編入とは出身校での取得単位を認められて、四年制大学に3年次(または2年次)から入学する制度です。対象となるのは、次の資格をもつ人たちです。
- 大学卒業(見込)者/学士取得(見込)者
- 短期大学卒業(見込)者
- 高等専門学校卒業(見込)者
- 大学2年(あるいは1年)以上在学(見込)で所定の単位を取得(見込)者
- 専門士取得(見込)者
- 高等学校等の専攻科の課程修了(見込)者
(※大学卒業者の場合は学士編入(入学)、大学在学者の場合は転入と呼ぶことがある。)
平成27年6月に学校教育法が改正され、平成28年4月から、高等学校等の専攻科のうち、修業年限2年以上など、文部科学大臣が定める基準を満たすものを修了し、かつ、大学受験資格を有する方にも、大学編入の道が開かれました。
さかのぼって適用されますので、すでに専攻科を卒業された方も有資格者になります。
ただし、編入試験の受験資格は有資格者の中から大学がそれぞれ決定しており、専門士の受け入れも進んでいない状況があります。実際の運用については、今後の状況を見守ることになります。
また、文部科学省以外の各省庁が設置する大学校や職業能力開発施設(職業能力開発大学校及び同短期大学校)については今のところ認められていませんが、今後も検討されるとのことで、いずれ認められる可能性があります。
なお、特に大学校については、大学によっては受験資格を認めた例がありますので、積極的に各大学へ問い合わせることをお勧めします。
中退していても受験できるの? 通信からは?
大丈夫です。必要な単位さえ取得していれば、大学中退者もいくつかの例外を除き、ほとんどの大学を受験できます。通信制の大学や放送大学の在卒者ももちろん受験可能です。ポイントは、どの程度、出身校で単位を取得しているかです。
あきらめる前に、まず、自分に受験資格があるかどうか、確認してみましょう。中央ゼミナールにお問い合わせ、ご相談いただいても構いません。
どこの大学でも編入試験を受験できるの?
残念ながら、すべての大学が編入試験を実施しているわけではありません。それではどのくらいの大学が編入試験を実施しているのでしょうか。
令和3年度 全国私立大学編入試験実施状況
(令和2年秋 中央ゼミナール調査)
全国私立大学数 | ||
---|---|---|
594校 | ||
編入試験実施大学 | 未実施大学 | |
486校(81.8%) | 108校(18.2%) | |
既存の大学 | 新設大学 | |
97.2% | 2.8% |
(未実施かつ既存の大学のうち、70%は医歯薬系、看護医療福祉系、芸術・スポーツ系など、国家資格関連の学部学科や専門色の濃い学科系統)
それでは専門色の濃い学科系統の大学を除いた、編入試験を実施する私立大学の割合はどうかというと、実に全体の95%を越えています。国立についても編入生の受け入れに積極的です。全く編入試験を実施していないという大学は全国で11校に過ぎませんし、その多くは教員養成系の単科大学です。しかし、喜ぶのはまだ早いんです。注意しなければいけないことが、3つあります。
- ① 同じ大学でもすべての学部学科で編入試験を実施しているとは限らない
- ② 募集対象を限定する大学学部学科がある
- ③ その年の欠員状況で試験の実施の有無を決める大学学部学科がある
編入制度自体は各大学単位で置くかどうかが決められますが、実際に実施するかしないか、あるいはどういう資格の学生を受け入れるかは、さらに、その大学の学部学科単位で決定されます。
したがって、同じ大学内でも学部学科専攻で実施の有無が異なる状況が珍しくありません。どの大学学部学科がどのようなかたちで編入試験を実施しているのか、各大学ごとの具体的な編入試験実施状況を知ることがポイントになります。
大学によって編入試験実施パターンが異なる?
各大学の編入試験実施には次のようなパターンがあります。
- A 毎年全学部学科で実施する大学
- B 毎年一部の決まった学部学科のみ実施する大学
- C 年によって実施学部・学科が異なる大学
- D 試験実施の有無自体が年によって異なる大学
- E 欠員の少ない年は内部編入(併設短大からの編入、内部生の学部・学科移動)だけ実施する大学
上記に加えて、受け入れる対象、編入定員設置の有無、合格状況、編入に取り組む積極性など、大学によってかなり特徴があります。受験生からみると大きな差になります。当然のことですが、毎年試験を実施して一定数の合格者を出している大学が、情報も入手しやすく、合格の可能性も高くなります。
募集対象が限定されるって?
せっかく、志望校が編入試験を実施していても、受験資格がないために受験できないことがあります。募集する対象は各大学が、多くの場合、学部学科単位で決定しています。
はたして、あなたは志望する大学を受験できるのでしょうか。募集対象、受験資格を確認する必要があります。
外部からの編入試験の募集があるのか、併設短大など内部だけの募集なのかを確認しましょう。
内部だけの実施大学はごく少なく、学部・学科・専攻によることもあります。
外部からの受け入れを行っている場合は、具体的な受験資格を確認しましょう。
主として次のようなパターンがあります。
- ① 大学・短大・高等専門学校卒業(見込)者、専門学校修了(見込)者(=専門士)および大学在学者のすべてを受け入れ
- ② 大学・短大・高等専門学校卒業(見込)者および大学在学者を受け入れ
- ③ 大学・短大・高等専門学校卒業(見込)者を受け入れ
- ④ 大学卒業(見込)者(=学士)のみ受け入れ
- ⑤ 上記①②に高校等専攻科課程修了(見込)者をプラスして受け入れ
具体的な受験資格の規定があるって聞いたけれど?
実は、さらに具体的に受験資格を規定する大学があります。
A 四年制大学在学者を対象にした出身大学での取得単位に関する規定
多くの大学が規定しています。3年次受験の場合は大学2年次修了(見込)時に62単位以上、2年次受験の場合は大学1年次修了(見込)時に30単位以上の取得を条件とすることが多いのですが、この数も実は大学によってまちまちです。
中には、一般教育や語学の取得単位数などを具体的に規定する大学もあります。この場合は四年制大学在学者に限らず、短大出身者も該当することがあります。また、上智大学のように、出願時にすでに一定の単位を取得済みであることを条件とすることもあります。
注意したいのは「大学2年次修了」と「大学2年以上在学」という、表記の違いです。前者は、見込みで受験した場合、最終的に在籍校で3年次への進級ができないと、合格が取り消しとなるケースがあります。逆に、後者の場合、極端な例では、1年次から2年次に進級できず1年次に2年間在籍した人でも、受験資格を認められたことがあります。
さらに、四年制大学在学者については在籍大学の受験許可が必要な大学もありますから、要注意!
B 出身学科に関する規定
受験者の出身・在学学部学科系統を指定する大学があります。具体的には以下の通りです。
① 看護医療系や管理栄養などの3年次編入→各種国家資格や栄養士資格取得(見込み)が前提で、同系統からのみ受け入れる
② 工学部系など、実験科目などの多い分野の3年次編入
③ 文系分野で、英文学科なら英語・英文学関連学科出身者のみ受け入れる→まれではあるが、一部の大学に存在する。一定の専門科目単位を持っていることを条件にするケースもある。また、学士については逆に出身学科への出願を認めない大学がかなりあります。
C 社会人編入に関する規定
社会人を対象とした社会人編入では、年齢、大学・短大などを卒業してからの年数、実務経験年数のいずれかが条件になります。また、大学夜間部などでは有職者であることを資格にするところがあります。
以上ですが、詳細は大学によりさまざまなので、『まるわかり!大学編入データブック』を参照して個別に確認してください。なお、最近では単位規定、出身学科の指定については受験生に有利に変更する大学が少なくありません。最新の情報で最終確認することをお忘れなく。
欠員募集って何? 定員設置大学って?
その年の欠員状況で編入の実施の有無が決まるって、どういうことだろうと疑問を持つ方もいるでしょう。
大学の定員の多くは一般入試で受け入れますが、試験に合格した人のすべてが入学するわけではありません。当然、他大へ流れる人もいます。その結果、年によって定員を上回ったり、定員を切ったりすることがあります。もともと編入試験は、欠員が出たときの補充のために、欠員募集として行われていました。そのため、現在でも欠員状況で実施する、しないを決める大学があるわけです。
一方、定員設置大学とは、正規に編入定員を設置している大学です。文部科学省は平成5年度に大学設置基準を改正して、在籍者の総数さえ変わらなければ各大学の判断で編入定員を設置できるようにしました。令和3年度現在、223私立大学432学部769学科が一般入試と同様に編入定員を設置しています(内編・指定校推薦、および通信教育課程のみ実施を除く)。
編入定員設置大学には、新たに大学・学部・学科を設置したところと、国立大学や一部の私立大学のように、既存の学部学科で編入定員を設置したところがあります。特に私立大学にとっては、少子化による「大学全入時代」を迎えて、学生数を確保していくための一つの経営手段として、受け入れを進めるところがほとんどです。編入を志望する側から見ればチャンスです。定員募集をする大学学部学科は、編入生の受け入れに積極的だと言えますから。『まるわかり!大学編入データブック』で過去3年間の合格者数をみていただき、ほぼ、毎年、同数程度の合格を出しているところが編入定員設置大学です。ぜひ、チャレンジしてください。
編入にもいろいろな種類があるって聞いたけれど?
一口に編入といっても、実はいろいろな種類があります。ここでは6種類の編入をご紹介しましょう。
① 一般編入
編入試験の受験資格を持つ人たち全般を対象とした試験。書類審査・筆記試験・面接などで合否を決定。
② 学士編入
学士の称号(大学卒業者及び相当資格者に与えられる)を持つ(見込含む)人を対象とする。試験内容はさまざまで、一般編入と変わらない大学、語学免除の大学、面接のみの大学などがある。
③ 内部編入
併設短大卒業(見込)者や同一大学内の学生のみを対象とした試験で、呼び方は大学によってさまざま。前者は短大の成績重視で書類審査・面接のみの大学が多い。併設短大生は内部の試験と一般編入の両方を受験することができる。後者は編入試験と同様の受験が多いが、大学の成績を受験条件とする場合もある。詳しくは後述の「転部・転科・転籍って?」の項参照。
④ 社会人編入
年齢、最終在籍校を卒業後の年数、実務経験などを受験条件に、社会人を対象に実施する試験。語学を免除して書類審査・小論文・面接だけの大学や書類審査・面接のみの大学が多いが、一般編入と全く同じかたちで実施することもある。
⑤ 公募推薦編入
短大・高等専門学校・専門学校の推薦を得た人を対象に実施。出身校での成績を条件にすることが多い。試験科目は語学が免除されるなど、一般編入に比べると少ないのが普通。最近では、自己推薦編入、AO編入などを実施する大学も。
⑥ 指定校推薦編入
大学から指定を受けた特定短大・高等専門学校・専門学校の卒業見込者を対象とする。多くの場合、在籍校の成績が条件になる。在籍校での推薦を得られれば、あとは面接のみの大学が多く、一般編入に比べると試験科目も少ない。
AO編入まであるなんてと、驚かれたのではないでしょうか。
このような編入試験の多様化は、定員設置大学の増加がもたらしたものです。一般入試の易化、18歳人口の減少によって、定員割れをした全国私立大学は全体の31%(令和2年8月調べ)におよんでいます。多くの大学が定員数の確保に苦労しているのが現状です。そこで、一般編入でも、小論文・面接のみで試験を行うなど受験生に有利な試験内容にしたり、特定短大に対する指定校推薦、AO入試、公募推薦などを実施して、定員の確保に努力しているわけです。
もし、あなたが短大生なら、自分の短大にどのような推薦枠が来ているのか、早速調べてみましょう。それから学士の方は、学士編入しか受けられないと誤解しないように。もちろん一般編入も受験できます。学士は医学部・薬学部・看護学部・獣医学部(多くの場合、2年次)など医療系の学部系統、東大や早稲田、複数の国立大学文学部など、学士のみ受け入れる大学・学部を受験でき、選択肢は他の有資格者よりもずっと広くなります。
なお、学士とは、通信制大学や放送大学を含む大学卒業(見込)者、学位授与機構による学士号取得(見込)者を指します。念のため。
転部・転科・転籍って?
同一大学内で学部・学科を移動することを転部・転科といいます。2部(夜間部)から1部(昼間部)へ移動するのも転部です。また、通信教育部から通学部へ移動することを転籍といいます。ただし、大学によって呼び方はさまざまです。
試験要項が編入試験とは異なり、別の試験区分で考えるのが一般的ですが、大学によっては、転部・転籍を含めて内部編入と呼ぶ大学もあります。転部・転科・転籍試験では、編入試験と同様の試験科目だったり、全く同じ試験を編入生と一緒に受験させることが多いのですが、中には大学の成績を受験条件とするところ、編入試験よりも科目数を減らすところがあります。
これらの試験は、欠員募集で実施の有無が年によって異なる場合もあります。また、同一大学内でも学部によって転部試験を実施するところとしないところがあったりします。大学内のことは公表しないことが多いので、内部での情報収集が大切です。
2年次編入と3年次編入があるって聞いたけれど?
多くの場合は3年次からの受け入れですが、中には2年次から受け入れる2年次編入を実施する大学もあります。ただし、同じ2年次編入でも、大学によって意図することは異なりますから、要注意です。
2年次編入には以下のようなタイプがあります。
- A 3年次編入と並行して、大学1年以上修了(見込)者を対象とした2年次編入を実施する。短大生が1年修了(見込)で受験できる大学は全国で27校(令和2年度)。多くの場合は卒業(見込)が受験資格。→『まるわかり!大学編入データブック』参照
- B 3年次編入と受験資格は同じだが、入学年次を2年次とする。
- C 同系統学科出身者を3年次、異系統学科出身者を2年次とする。
- D 医学部や看護学部などの学士編入を2年次入学とする。医学部は2年後期・1年次後期から受け入れることもある。
- E 単位認定状況で編入年次を決定する。E-1:事前の書類審査で年次を確定 E-2:入学後の単位認定で年次を決定
上記のうち、Aが一般的な2年次編入です。大学1年生が2年生から他大へ移動することですね。B~Dは全体からみれば少数です。ところでもっとも注意しなければならないのはEのケースです。
Eのケースでは、E-1:事前の書類審査で年次を確定、E-2:入学後の単位認定で年次を決定、という二つのパターンがあります。
E-1の場合は、受験前、あるいは合格時に編入年次がわかりますが、E-2の場合は入学後にならないと、2年で卒業できるのか3年かかるのか、わかりません。事前に情報収集が必要です。試験要項の受け入れ年次に注意してください。
編入試験はいつ頃実施するの?
編入試験の実施時期は一般入試とは全く違うので要注意。
試験日は大学によって様々ですが、全体に次のことが言えます。
- 年に1回の実施の場合、年内(12月まで)に国立で9割方、私立でも8割方の大学で試験を終了する。
- 国立大学は学部単位で編入試験を実施するため、同一大学内でも学部によって試験日程が異なる。大規模な私立の総合大学でも同じケースがある。
- 私立大学では、特に定員設置大学を中心に、年2回ないしは3回試験を実施することが多い。
- 併設短大など内部の学生を対象とした内部編入、特定の短大を対象とした指定校推薦編入などは、試験時期が全体に早い。
- ごくわずかだが、秋入学者を募集する大学がある。
以上を前提に、ここでは一般編入の試験日程について、国立・私立別、系統別に確認していきましょう。
国公立理工農学部系統については、試験実施の早い大学がほとんどで、6月には試験が始まります。ついで医看系が行われ、農学部系など比較的遅いところでも11月には試験を終了します。一方、私立理工農学部系統・医看系の場合は、大学によって試験日がバラバラで、6月頃から3月まで、実施されています。
国公立社会系・人文系学部については、9月頃から始まり10月・11月がピークで、12月までに多くの大学で試験を終了します。年明けに実施する大学学部は限られます。
私立社会系・人文系学部についても、国公立と同様に秋、特に11月が試験のピークになりますが、立教、明治など、東京でも人気の私立大学については、年明けの2月、3月に実施するところがあります。ただし、同じ大学でも学部によっては年内に実施することがあるため、学部単位での確認が必要です。
試験日で注意することは?
注意したいのは、年によって1カ月近く、試験日程の前後することがある点です。場合によっては年明けから年内に変わることもあります。
たとえば、令和2年度の筑波大学社会・国際学群がそうです。長らく2月下旬の実施だったのが、年内の11月に変更になりました。これも一般入試とは異なるところです。昨年3月だったからと安心していると、試験日が年内に変更になり出願が間に合わなかったということも十分にあり得ます。試験日程には要注意といえますね。
また、令和3年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、試験日程等を変更する大学がありました。令和4年度は元にもどる可能性がありますので、前年の日程が参考にならないことがあります。最新のホームページでの確認が必要です。
編入試験の合格状況は?倍率は?どのくらいの人が受験するの?
気になるのは、どのくらいの人たちが編入試験を受験して、また、合格しているのか、というところですね。本当に受かる試験なのか、不安な方も多いでしょう。
次の表は、全国大学の編入試験志願者数と合格者数をトータルしたものです。ただし、内部編入のみ実施大学の状況や非公表の大学、さらに書類提出のみで入学できる通信教育課程を除いていますから、実質的にはもっと多くの方が大学へ編入しています。
全国大学の編入学志願者数と合格者数および倍率
国公立 | 私立 | 合計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
志願者数 | 合格者数 | 倍率 | 志願者数 | 合格者数 | 倍率 | 志願者数 | 合格者数 | 倍率 | |
令和2年度 | 15,891 | 4,740 | 3.4 | 10,213 | 5,088 | 2.0 | 26,104 | 9,828 | 2.7 |
令和元年度 | 15,874 | 4,772 | 3.3 | 9,557 | 5,041 | 1.9 | 25,431 | 9,813 | 2.6 |
平成30年度 | 16,596 | 4,910 | 3.4 | 10,084 | 5,547 | 1.8 | 26,680 | 10,457 | 2.6 |
平成29年度 | 17,289 | 5,048 | 3.4 | 10,286 | 5,572 | 1.8 | 27,575 | 10,620 | 2.6 |
平成28年度 | 18,176 | 5,304 | 3.4 | 10,759 | 5,880 | 1.8 | 28,935 | 11,184 | 2.6 |
平成27年度 | 18,765 | 5,400 | 3.5 | 11,290 | 6,350 | 1.8 | 30,055 | 11,750 | 2.6 |
平成26年度 | 18,830 | 5,526 | 3.4 | 10,967 | 6,229 | 1.8 | 29,797 | 11,755 | 2.5 |
平成25年度 | 19,834 | 5,535 | 3.6 | 12,147 | 6,895 | 1.8 | 31,981 | 12,430 | 2.6 |
平成24年度 | 20,641 | 5,722 | 3.6 | 13,195 | 7,183 | 1.8 | 33,836 | 12,905 | 2.6 |
平成23年度 | 22,490 | 6,306 | 3.6 | 14,924 | 8,331 | 1.8 | 37,414 | 14,637 | 2.6 |
平成22年度 | 23,605 | 6,559 | 3.6 | 15,882 | 8,785 | 1.8 | 39,487 | 15,344 | 2.6 |
平成21年度 | 23,357 | 6,484 | 3.6 | 17,065 | 9,018 | 1.9 | 40,422 | 15,502 | 2.6 |
平成20年度 | 24,433 | 6,813 | 3.5 | 19,112 | 10,079 | 1.9 | 43,545 | 16,892 | 2.6 |
平成19年度 | 25,856 | 6,957 | 3.7 | 21,518 | 11,401 | 1.9 | 47,374 | 18,358 | 2.6 |
とりあえずは、思ったほど倍率が高くないと安心したのでは? ただ、一部の定員設置大学では受験者全員が合格するところもありますし、一方で高い倍率になっているところもありますので、油断はできません。各大学・学部学科別の状況を『まるわかり!大学編入データブック』で確認しておきましょう。
その他に、この表から何が読みとれるでしょうか。
国公立大学については、平成22年度は志願者・合格者とも微増しましたが、その後は、志願者については24年度8.2%、25年度3.9%、26年度は5.1%の減少となりました。27年度は、志願者数はやや下げ止まりになり、0.3%減少、28年度は3.1%減少、29年度は4.9%減少、30年度は4.0%減少、令和元年度は4.4%減少、令和2年度はほぼ横ばいの0.2%増加となりました。合格者数も志願者数に比例して減少しています。たとえば、24年度は9.3%減少、27年度は2.3%減少、28年度は1.8%減少、29年度は4.8%減少、30年度は2.7%減少、令和元年度は2.8%減少、令和2年度は0.7%減少という状況です。
一方、私立大学の志願者数、合格者数は、平成26年度までは年々減少し、志願者数については25年度7.9%、26年度9.7%、それぞれ減少、27年度は2.9%微増、28年度は4.7%減少、29年度は4.4%減少、30年度は2.0%減少、令和元年度は5.2%減少、令和2年度は6.9%増加となっています。合格者数も、25年度4.0%、26年度9.7%それぞれ減少、27年度は1.9%微増、28年度は7.4%減少、29年度は5.0%減少、30年度は0.4%減少、令和元年度は9.1%減少、令和2年度は0.9%増加となっています。
令和2年度は、国公立はほぼ横ばい、私立は微増でした。しかし令和3年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、試験を実施しない大学もあるなど、前年までの傾向が参考にならない可能性もありますので、注意が必要です。志願者数減という状況に伴い、編入を中止する大学、編入定員を減らす大学、合格者数を絞る大学もかなり出てきています。受験者の減少理由は、次の項で説明しましょう。
編入試験受験者の動向はどうなっているの?
私立大学の受験者が減少したのは、編入試験の主たる受験者層だった短大生の一般編入志望者が、大きく減っているためです。理由としては、18歳人口の減少、一般入試の易化、女子の四大志向、短大の四大化などにより、短大進学者数が年々減少していること、選ばなければ最初から四年制大学に進学できること、などがあげられます。これを証明するのが次のデータです(下図:文部科学省「学校基本調査」参照)。
ご覧のとおり、平成12年度をピークとして、短大から四年制大学への編入者数は減少の一途にあります。
また、高等専門学校や専修学校(専門課程)からの編入についても、ほぼ同時期に減少が始まっています。
平成30年度から始まった高等学校等の専攻科課程修了(見込)者の編入受け入れ大学は増加していますが、編入者数はまだ少ない状況です。
そのため、現在、編入試験受験の中心となっているのは、四年制大学在学者です。実際、中央ゼミナール学生についてみても、平成7年度当時は、編入志望者の約8割が短大生でしたが、年々減少して、現在では四大生の方が数的に大きく上回るようになりました。この傾向に伴い、国公立大学の志望者が年々増加しているものと考えられます。
在学している大学からもっと学習環境の整った大学へ、自分の勉強したいことが学べる大学・学部へ、卒業後の就職を考えてステップアップしたい…、今日では編入受験者の多くが四大生となっています。
文部科学省「学校基本調査」より
短大から四年制大学への編入者数
編入者数 | 前年度比 | |
---|---|---|
令和元年度 | 3,725 | -200(-5.1%) |
平成30年度 | 3,925 | -167(-4.1%) |
平成29年度 | 4,092 | -247(-5.7%) |
平成28年度 | 4,339 | -96(-2.2%) |
平成27年度 | 4,435 | -338(-7.1%) |
平成25年度 | 5,064 | -555(-9.8%) |
平成24年度 | 5,619 | -220(-3.8%) |
平成23年度 | 5,839 | -875(-13%) |
平成22年度 | 6,714 | -348(-4.9%) |
平成21年度 | 7,064 | -638(-8.3%) |
平成20年度 | 7,700 | -1247(-13.9%) |