志望理由書についてその1?校内生からの質問を受けて?

 いよいよ、志望理由書作成の時期になりましたね。言い換えれば試験が近づいてきたということ、緊張も高まってドキドキしていませんか。中ゼミにも連日多くの学生が、指導を受けに来ています。面談室を覗くとスタッフも学生も本当に真剣そのものです。
 でも、中には
   「明日、締めきりなんです!今すぐ見てください!」
   「どうしても2000字が埋まらないんです。何を書いたらいいんでしょうか?」
   「この大学を志望する理由がみつかりません。どうしましょう?」
 おやおや、いつかどこかでみたような…とういうか、実は毎年見る光景ですね。追い込まれる前になるべく早く来てほしいのですが…。でも、たいがいは、できる限り協力して、許された時間の範囲ですが、ベストを尽くして何とか間に合わせます(もちろん、もっと時間をかけたいのはやまやまですが)。それでよいのか…と問われたとしたら、「よい悪いではなく、学生が合格するために、できる限りのことをするのが私の仕事」と答えるでしょうね。


 さて、志望理由書については、質問掲示板で随分取り上げられていますが、その中で、校内生からいくつか気になる指摘を頂きました。
 その一つが、『全国一律フォーマットの怪』というタイトルで書かれているスタッフコラムの内容が、中ゼミでの志望理由書の指導とは異なるのではないか…という指摘です。内容を検討して誤解のないように先生に手を加えていただくつもりでしたが、少々大げさな言い方である上に非常に辛口ではあっても、一概に間違ったことを書いているわけではないので、現状ではそのまま掲載してあります。
 具体的には大学を志望する理由に「カリキュラムが豊富で環境が整っているから」とか、「多岐に渡ったカリキュラムが魅力的だから」とか、書く学生があまりに多すぎる。それでは、「自分の価値を伝える手だてにはなっていないのではないか」というのがコラムの内容でした。
 それでは、大学のカリキュラム上の特徴に触れることがいけないのでしょうか。
 もともと、志望理由書でその大学の特色を取り上げて書くのは、現役生(高校生)の推薦入試などでよく使う手法です。まだ、大学での勉強内容はわからないわけですから、よほど個性的な理由がない限りは、どうしても、それを書かざるを得ないわけですね。結果的に志望理由=その大学を志望する理由となる傾向が見られます。かつ、それを書くのに利用するのは、受験生全員、同じ資料(ホームページ、大学のパンフレット)です。どうしても似たり寄ったりの内容になりがちです。これが、全国一律フォーマットの原因ではないでしょうか。
 ところが編入の場合は、研究したいことがその大学でできる、その大学であれば専門的に学べる、だから受験する、という学習や研究上の理由を、求められます。また、これがもともと文部科学省が編入制度を推進してきた本来の目的でもあるんです。
 したがって、その大学を志望する理由としては、自分が研究したい内容に、その大学が適している、だから受験する…ということが伝わる内容で書くことがベストですし、大学側が望む受験者像に一致しているとも言えるでしょう。現役生の推薦入試とは少々異なるわけですね。
 でも、現実問題としては、それでは書けないこともたくさんあります。研究したいことがどこの大学でもできることだったり、逆に、なかなか専門の先生がいないためにそのものずばりの大学が見つからないこともあります。また、受験の目的が必ずしも特定分野に対する学習意欲だけではなく、その大学自体に魅力を感じているためということも当然あるでしょう。それに、確実に受かるためには複数大学の受験も必要ですし、その中には必ずしも学習環境が整っているとは言えない大学があっても不思議ではありません。
 受験生にすれば、受けるからには滑り止めでも受かりたい、当然ですね。そして受かるためには、その大学を志望する理由を明確にしなければなりません。このような場合には、その大学の特徴に触れてもかまわない、というよりも、それ以外に書きようがない、というのが実際です。それに、事前にカリキュラムをきちんと検討して、面接できちんと説明できるようにしておけば、面接を参考程度とする多くの大学は納得してくれます。
 ですから、「その大学を志望する理由」に関する中ゼミの指導としては、
  ? 自分の研究テーマと結びつけて書く
  ? ?で書くことが難しい場合は、その大学のカリキュラムの特徴などを取り上げる
ということになるわけです。
 実際に中ゼミ生がどちらで多く書いているかと言われると、う?ん、私が見ている学生では半々かな。あまり自信はないけれど…。なぜかというと、実は私が重きを置いているのは、編入の動機、入学後の研究テーマの部分であり、その大学を志望した理由は、それほど意識していないんです。大学に対する情報の発信源が同じ(ホームページや大学案内)である以上、ある程度似たり寄ったりの内容になるのはやむを得ないし、あの先生がいるから、この先生がいるから、などと書くのはリスクが伴います。気を遣うのは、この点についてうるさい大学の時だけです。それも志望理由書で書けることは行数が限られますから、具体的な対策はその後に行う面接指導であらためて扱っています。
 中ゼミには、学生が勉強に対して高い学習意欲を持って、編入試験にチャレンジすることを期待する、ほんとに真面目な学習スタッフが大勢います。でも、同時に受験のプロとして学生を合格させることに力を注がなければなりません。コラムを書いてくれた先生も当然それはわかっています。コラム中の「大学を褒め称えることは間違っていないにしても…」の文面からもわかるように、?で書くことを頭から否定しているわけではありません。でも、あえて厳しいことを書いたのは、?で書く学生があまりに多すぎる、これから志望理由書を書く学生には、できるだけ?で書いてほしい、という気持ちの表れでしょう。
 校内生はとにかく志望理由書を持って指導を受けに来ること、そうすれば、スタッフの熱い気持ちもわかっていただけると思います。サポート生もどんどん送って下さい。添削指導を受けられない校外生の方にはちょっと気の毒ですが、このサイトの中に、志望理由書を書くヒントはいろいろとあります。活用してください。
 長くなったのでいったんここでストップしますが、このテーマは次回以降も取り上げていきたいと思います。 

語学検定と編入試験

 編入試験の出願要件に各種語学検定の基準を初めて取り入れたのは、上智大学でした。それに伴い全学部共通の英語試験は廃止されました。平成10年度編入試験からスタートしましたから、もう、7年も前のことです。
 当時を振り返ると、上智に行きたかったのに受験すらできなかった…、つまり、門前払いされた中ゼミ生が多くいて、学生とともに非常に残念な思いを味わったことを思い出します。出願資格が変わると聞いてはいましたが、中ゼミが正式に情報をつかんだのは、試験要項が確定してからのことですから、年度途中でした。
 その結果はどうだったのかというと、平成9年度は上智大学全学部の合計*でジャスト400名だった受験者が、平成10年度には117名になり、前年度比マイナス70.8%と激減したんです。*上智は欠員募集のため、実施のない学科あり
 一方、合格者数は、平成9年度が合計39名で単純倍率が9.8倍、平成10年度が27名で4.3倍ですから、受験資格をクリアできれば、むしろチャンスは広がったわけですね。


 これにより、中ゼミ生の上智大学合格者数も、それまでの平均が年に10名前後だったのに半数程度になりました。平成9年度受験までは、毎年、上智大学全学部共通英語の対策講座を設置して、何とか学力を引き上げて合格者を出していました。しかし、平成10年度受験では、どうしても上智に行きたいという学生が急遽独学で語学検定に取り組んだわけですから、よい結果を出すのは、容易ではなかったということになりますね。
 それでは最近の上智大学の編入試験合格状況はどうかというと、平成15年度が131名受験で48名合格(別途試験実施の比較文化学部除く)、単純倍率は2.7倍です。受験者数は平成10年度当時よりも増えていますが、これはあらかじめ語学検定の対策を立てることができるわけですから当然と言えます。しかし、平成9年度の400名には遠く及びません。
 もちろん、その当時、編入試験受験の中心だった短大生が大幅に減少していることも受験者減の大きな理由だとは思いますが、4大生の中で編入試験受験者が増えて、早稲田大学第二文学部の受験者数が当時よりも増加していることを考えると、語学検定基準の壁はまだまだ高いと言えそうですね。一方合格者数は増えていますから、基準さえパスすれば、合格の可能性はより高くなっていると言えそうです。
上智大学の英検基準(2004年度)
準1級以上  文学部英文・ドイツ文・社会・教育
         法学部各学科/経済学部各学科
         外国語学部英語・ドイツ語・イスパニア語
  ※その他の学科は2級以上
さて、今回、この古い話を蒸し返したのは、このところ、編入試験の出願資格に語学検定の基準を設ける大学学部が、目立ってきたためです。まず、早稲田の社会科学部。ここは以前は学士のみを対象としていましたが、短大生や4大在学者を対象に別途3年次編入を開始し、受験資格に外国語検定の出願基準を設置しました。ただし、受験者数は、平成13年度から15年度まで、毎年10名台、学士の受験者が50名を越えていることを考えると、非常に少ないですね。これも受験資格がネックになっているためと考えることができるでしょう。
 さらに、今年は早稲田大学商学部、神戸大学経営学部も、出願資格に語学検定基準を設けることになっています。英文学科や英語学科ではなく、商・経営系の出願資格で変更が見られるのはちょっとおもしろいところですが、それはそれ。これにより中ゼミでは受験者の減少を予想しています。
 それではなぜ、受験者が減るのでしょうか。
 中央ゼミナ?ルでは、今年は語学検定の対策として、通年の授業に「TOEFL・TOEIC対策」を設けました。それでも、どこまで中ゼミ生が語学検定の準備に時間をかけられるのか、これは疑問です。
 基本的に編入試験の英語と語学検定の英語は、出題内容も対策も異なります。編入の英語は一般教養レベルあるいは専門に関連した長文の読解が中心です。一方で語学検定では、語学によるコミュニケーション能力などの実用性が重視され、「聞く・話す・読む・書く」の4技能についてそれぞれ試験されることになります。同じ英語とはいえ、勉強する内容が違うわけですね。
 それに編入の勉強は英語だけではありません。専門科目、小論文、面接・志望理由書対策と取り組むことはたくさんあり、かつ、多くの方が大学や短大に行きながら、あるいは社会人として仕事を抱えながらの受験です。並行して語学検定の対策まで行うのは、もともと英語のコミュニケーション能力をある程度持っている、あるいは英語学科や英文科を受験する、などの場合を除いては、負担があまりに大きくなるわけです。
 上智や早稲田を受験できないのは残念ですが、今後、増えていくことが予想されるとは言え、語学検定が受験資格になっている大学はまだまだわずかです。
まずは確実に編入することを考えるのが人情でしょう。
 ただし、どうしても上智に行きたい、早稲田に行きたいという方は別ですね。
受験大学を絞ってその対策として語学検定に取り組むべきですし、基準さえクリアできれば、逆にチャンスかもしれません。
 それから、もし、これをご覧の方が次年度に編入試験を受験する予定であれば、今年は語学検定に取り組んで結果を出しておきましょう。出題傾向・形式が異なるとはいえ、英語であることには変わりありません。英語に触れておくという意味からもお勧めします。
 でも、これ以上、語学検定の基準を設ける大学が増えるのはちょっと迷惑。
努力すれば結果を得られるのが編入のよいところなのに…。英語を話す、聞く力は、長文読解とは違って、そう簡単には向上しないですものね。私なんかどうもそういうセンスがなくって…。学生時代、英会話の時間は苦痛そのものでした。とこれは余計な独り言でした。

早慶と編入試験

6月中旬のある眠たい午後、中ゼミでのこと。編入試験の情報収集を主な仕事にしているババさんから、「宍戸さん、早稲田の商学部が4大生や短大生を対象にして編入試験をやるってよ。よかったね!」と声がかかった。いっぺんに眠気が覚めた。「えっ? ホント? やった?。でも待てよ。社会科学部みたいに受験資格にトフルや英検の成績が含まれているんじゃないでしょうね?」「いえいえ大丈夫。従来から行っていた学士編入の受験資格が、大学2年以上在学(見込み)者・短大卒業(見込み)者・高等専門学校卒業(見込み)者まで拡大したということみたい。」 つまり、従来から中ゼミで対応してきた早稲田商学部対策でよいということか。よかった…。要項を見るまでは決して安心はできないが。
 このニュ?スが私にとってどんなに嬉しいことか、なかなかわかってもらえないだろう。私が編入の指導を始めた頃は、「独り言」にも書いてきたように、まだ、大学によっては「編入って何?」という時代だった。その後、多くの大学が編入試験を始めるようになり、やっと、編入という制度があることが世間に知られるようになってきた。しかし、早慶については、早稲田は第二文学部を除くと学士編入のみの実施、慶應は自学の通信教育からの編入と内部での学士編入・転部のみの実施で外部からは全く受け入れなしという状況。早慶で本格的に編入が始まらなければ、編入が大学受験で市民権を得たとは言えない…というのが、私の長年の思いだったのだ。


  それが、一昨年度から早稲田の社会科学部で学士以外を対象に受け入れが始まった。だが、社会科学部は二文と同じ夜間学部のイメ?ジが強い。また、受験資格に語学検定に関することが規定されるなど、従来の編入試験とは異なるハ?ドルがあった。本当に変わり始めたと感じたのは昨年度のこと。驚いたことに慶應義塾大学理工学部で編入試験が開始された。慶應については、慶應短大から慶應大学看護学部となったことで、看護学部で外部からの学士編入が行われることは知っていた。しかし、新設の学部で編入枠を設置するのは最近では当たり前になっており、理工学部の場合とは状況が異なる。他大の学生を受け入れる理工学部での編入スタ?トは、「あの慶應がとうとう…」という意味で感慨深いものがあった。
  率直なところ、慶應が年明けの3月に理工学部で編入を実施すること自体は、当校の学生にとってメリットがあまりなかった。理工系の学生は国立狙いが多く、国立理系の試験時期が6・7月のため夏までに受験を終えてしまい、秋・冬を越して春先まで受験を続ける人はごく少ないのである。しかし、これを手始めに、他の学部でも編入を開始する可能性がでてきたのが嬉しい。今後は情報収集にも力が入るだろう。慶應には編入に関する情報を入手するため毎年電話を入れているが、今までは「うちは外部からの編入はやっていませんから」の一言で終わりというのが常だった。「どうせ駄目だろうけれど、一応電話しておこう…」という有様だったのだから。
  そして、今回は早稲田に関する朗報である。早稲田については、毎年、怪情報が飛び交う。「今年こそ昼間の学部で一般編入を実施するらしい…」という噂が、まことしやかに伝わってくる。これは早稲田での一般編入開始を待ち望む多くの受験生の声が産み出してきたものであろう。だが、噂は噂に過ぎないままだった。しかし、今回の商学部については、はっきりと大学に確認が取れているので、実施はまちがいない。
  もう一つ、早稲田について嬉しいことがある。毎年、8月に当校が実施している「大学編入フェア(大学が参加しての編入説明会)」に、今年初めて、早稲田大学が参加してくれることになったのだ。毎年のように声をかけてきて、やっと、努力が報われた感がある。今回参加するのは、編入に長い歴史を持つ第二文学部だが、手配は入試課である。これは大学側が編入に注目している表れと考えてよいだろう。当日、早稲田の方が驚くくらい、多くの学生が中ゼミに来てくれることを願っている。
  さて、なぜ、早稲田大学が編入に力を入れるようになってきたのか(もちろん、今まではそうではなかったということではないが、私から見ると変わってきたように思える)。これはあくまで風聞だが、早稲田は少子化による受験者の減少から一般入試による入学者のレベルが下がることを避けるために、今後何年かで一般入試での定員を現在の半分に減らし、他の試験制度に定員を振り分けることを計画しているという話がある。すでにAO入試などには力を入れて、勉学意欲の高い学生を入学させている。これが事実なら、一般編入の実施は商学部だけにとどまらず、順に他学部にも及ぶ可能性は充分ある。今後が楽しみである。
  しかし、いくら早慶で編入試験を実施しても、受験生が勉強に対する高い目的意識を持たず、ただ、早慶のネ?ムバリュ?だけに惹かれて受験を考えるようでは、大学側の編入への考え方も変わる可能性がある。一般入試で入学した学生とは異なるタイプの学生、研究に対する目的意識を持ち、編入後に真剣に学問に取り組む学生、もとからいる学生にとって刺激となる学生が大学では欲しいのだ。一般入試で失敗したからリベンジ!もよいのだが、それだけで終わらせず、早慶で何を学びたいのか、そもそも何故早慶なのか、しっかり考えて、勉強に対する意欲も持ってほしい。早慶が編入に力を入れれば入れるほど、受験生の姿勢にも、意識アップ、レベルアップが、望まれるのである。

面接のお話

いよいよ試験の真っ直中です。大学院の秋期試験はほぼ終了、社会人入試・編入試験は今がピ?クです。
生徒の話では、東京のある女子大学英文科の編入試験を受験したところ、受験生の多くが中ゼミ生で、緊張せずに臨めたとのこと。筆記試験が終わった後は友人同士で模擬面接をやっていたら(随分余裕ですね)、他の中ゼミ生が「私何もやってない!?」と慌てて、「何を聞かれるかポイントを教えて?」というので、その場で練習をしたとのことでした。もちろん、面接本番は慌てずに答えることができたそうです。それにしても、中ゼミでは個別に模擬面接も行っているし、大学別の面接実施状況の資料も配付しているのに、面接の準備をしていない生徒がいるとは…と、がっかりしたりあきれたりでした。よほど筆記に自信があったのでしょうか。


さて、今日は面接の対策についてお話ししましょう。  大学院・編入・社会人、別々の試験ですが、基本的に相手の大学側がチェックするのは次の3点です。
A 志望動機
B 人柄・コミュニケ?ション能力
C 現実として通学可能か
Aは、具体的には次の通りです。
?なぜ、その学科・研究科への進学あるいは編入を志望するのか。
?入学後の学習計画(社会人)、研究テ?マ(編入)、研究計画(大学院)
?なぜ、その大学・大学院を志望するのか
?卒業・修了後の進路
ここで大事なことは、自分が受験する試験の性格をしっかりと把握して、明確な目的意識を打ち出すことです。社会人入試であれば、社会人として何を学びたいのか、編入であれば3年次の専門課程からの入学で何を研究したいのか、大学院であればすでに大学を卒業した者が自分の関心領域についてさらに深く研究する場所であることを念頭に研究内容を、明らかにします。大学が大衆化された今、高校生が大学に行くことについては、あえて理由を問う人は少ないでしょうが、社会人入試・編入・大学院入試については、まだまだ特定の人が受ける試験です。そこで求められるのは、大学の本来の姿、つまり勉強に対する意欲になります。特に?については大学・大学院、あるいは担当した面接官によっては、深く厳しく突っ込んでくるところもあります。大学院受験ではここが最重要ポイントです。事前提出の志望理由書・研究計画書がしっかりしていると、楽です。逆の場合は、学校によっては合格が難しくなることもあります。
Bはごく簡単にいうと会話のキャッチボ?ルができるかどうか、ということです。最近、大学では学生のコミュニケ?ション能力の低下が問題になっています。精神的なケアを必要とする学生も増加しています。大学院では指導教授や研究室の人たちとうまく人間関係をとれるかどうか、編入では中途入学による孤独感を乗り越えて最後まで通学できるかどうか、社会人入試では若い学生と一緒にやっていけるかどうかが、会話を通して判断されます。質問事項はさまざまですが、たとえば性格、自己PR、愛読書その他があげられます。社会人については、若い人と一緒にやれるかと直接的に聞かれることがあります。また、看護医療系や社会福祉のように、将来、就職した際の適性をみられることがあります。
Cは、学費が払えるか、通学時間はどのくらいか、社会人であれば職場や家族の理解を得ているのか、など、現実問題として入学が可能かどうかということです。特に社会人の場合は、必ずといってよいほど確認されます。また、東京在住者が関西を受験する場合なども、本当に通学する意志があるのか、問われるでしょう。
頻出度別に確認すると、Aは、社会人入試・編入・大学院共通の必出ポイントです。Bは、特に社会人入試・大学院社会人入試、編入でも社会人の場合、学生でも看護医療系や福祉・心理の分野などでチェックされます。Cは試験区分を問わず、社会人が聞かれます。  さて、上記のA・B・Cがどこの大学・大学院でも注目する重要なポイントとすると、その次に大事なことは何か、ということになります。次のようなことが考えられます。
D 現代社会に関する問題意識
E 出身・在籍校の成績、卒論
F 筆記試験の出来
上記については、大学・大学院によって質問されるかどうか異なります。その他、併願校の有無、受験勉強の方法なども、よく聞かれる質問です。
それではどう答えればよいのか、これは皆さんが考えなくてはなりません。それも受験に対する意欲を高める大切な作業です。模擬面接をしてもらえる中ゼミ生がうらやましい? 本当にそうですよね。権利はしっかりと行使して欲しいものです。
さて、皆さんが気になるのは面接の重要度でしょう。これは大学・大学院によって異なります。参考程度のところ、筆記が出来ていても面接で落とすところなど、いろいろです。いずれにせよ、甘く見ないことです。筆記の成績がずば抜けて良くても「なぜこの大学を受験したのか」と聞かれて黙っていたのではやはり落ちます。実際にそういう人がいました。この人は練習で受けた私立大学で答えられずに失敗し、ずっと偏差値の高い国立大学には合格しています。逆に、筆記の結果は合格点に少し足らなかったけれども、面接で意欲を買われて合格している人も、珍しくありません。
面接官も人間です。あまりに印象が悪ければ落とす、逆に印象がよければ合格させる、そういうこともあるのです。  試験たけなわの11月、皆さんの参考になるとよいのですが。ご健闘をお祈りいたします。

編入試験の過去問題

またまた2ヶ月が経過しました。再び、お詫びを申し上げます。
さて、今回は編入試験の過去問題について、お話ししましょう。
編入試験では過去問題のチェックが本当に大切です。それはどうしてでしょうか?
編入試験の筆記試験は語学(主として英語)と専門科目です。この専門科目がくせもの。大学一般入試では基本は高校の教科書です。生物も日本史も高校の教科書を完璧に理解してマスタ?すれば、どこの大学の受験でも7割はとれるはず。文部省はセンタ?試験で8割はとれると言っています。(もっとも私は一般入試には詳しくないので、例外もあるのでしょうが…。)
では、編入試験ではどうでしょうか。たとえば法律学科を例にあげてみましょう。法律学科の場合、一口に専門といっても、?法学概論、?憲法、?民法、?時事問題と分野はさまざまです。???はそれぞれぶ厚いテキストがあるし、?に至っては、新しすぎてまだ本にもなっていないテ?マが出題されます。受験生の皆さんは、一度は勉強する範囲の広さという壁にぶつかって、呆然としてしまうでしょう。何から手をつけたらよいのかわからないという状態です。しかも、試験要項には「専門」とか、「論文」とか、「法学・政治学の基礎知識」とかしか書かれていません。中には「法学概論」と書いてあって民法が出題されていることもあります。この場合の概論とは、一般教養レベルであることを示しているのであって、出題の分野ではないわけです。これでは一体何を勉強したらよいのか、迷ってしまいますよね。


しかし、過去問題を調べてみると、大学によって?が出題されているところ、?が出題されているところ、あるいは??という組み合わせで出ているところなど、ある程度の傾向を読むことができます。?は出題大学が国立に限られ少ないことも分かるでしょう。過去問題の研究によって、勉強する範囲を絞ることができるわけです。
国公立の法学部でいうと、最近、課題文を提示しての小論文形式が増えていること、でも、小論文ならと考えて甘く見ていると、実際は専門の知識がないとよい答案が書けないこと、また、法律学だけではなく政治学の知識も時には必要になることが分かるでしょう。
学科ごとに過去問研究のポイントをアドバイスすると
英文学科なら、文学史や英語学の専門が出題されるのかどうか、リスニングや英会話があるのかどうか、トフル式の問題か、中ゼミで言うところの大学院型か、論文は専門性が強いのか一般小論文か、などをチェックしましょう。
日本文学科なら、現代文・文学史・古文・国語学・漢文・変体仮名・小論文(専門・一般)からどの分野が出題されているのか、チェックします。
社会学科なら社会学の理論が出ているのか、時事問題が出ているのか。
経済学科なら近代経済学か、時事経済か、あるいは両方か、さらには経営学は必要かどうか。
経営学科なら経営学の理論か、時事経済か、あるいは両方か、さらには経済学は必要かどうか。
英語についても同様で、中ゼミでいうところの大学院型、長文総合型、一般入試型のどれに当たるのか、英作文は出題されるのか、などで対策は異なってきます。
受験勉強する時間があまりとれない、あるいは試験まで期間がない場合は、科目数や勉強する範囲を絞ることが、合格への近道です。まずは、過去問に関する情報収集です。
ところで、大学の編入試験過去問題公表率はわずかに約50%です。つまり、半数の大学は過去問題を公表していないことになります。これはどうしてか?ということですが、10年も前から中ゼミで考えているのは、一般入試に比べて受験者の少ない編入試験では、問題作成もつい手を抜きがちになる…、受験者が場合によっては数人しかいない試験に時間はかけられない…、その証拠に英語なんか誤植だらけ…、こんなことは一般入試では絶対に許されない…、単に原書からコピ?して切り張りしただけという問題紙もよく見かける…、だからみっともないので公表しないのだろう…ということです。まあ当たらずとも遠からずでしょう。英語に大学院型の出題が多いのも、問題作成が楽だからという見方が成立します。だいたい英語の問題を作るのが専門科目の先生で、文法なんか当のご本人が忘れてしまっている、ということもあるでしょう。要するに読めればよいわけです。
問題を公表していない大学には国公立が多くなります。そうなると、過去問題が研究できない、どうしたらよいのだろうということになります。相も変わらず手前味噌で言うと、中ゼミのような予備校には以前受験した学生からの情報がありますから、おおよその傾向は掴めます。これは絶対に有利です。東大法学部の学士編入の問題があるかという問い合せを今春数件受けましたが、「ありますよ」と答えられるのは、私にとって本当に誇らしいことですね。
でも、中ゼミ生でない場合は、あるいは中ゼミ生でも新しく試験を始めるなど全く情報のない大学を受ける場合は…。これはとにかく頻出順に全範囲を勉強するしかありません。条件は皆同じです。過去問題が入手できないから合格できない、と言っても仕方がありません。さきほどの学科ごとのアドバイス、これを全範囲やることになります。でも、本来はそれが基本です。試験の傾向は変わることもあるわけですから。
また、中ゼミ生には「私は何ヶ月も前から過去問題を勉強していたのに不合格で、直前に過去問題を解いた友人は受かった」という人が時々います。これもおおいなる勘違いですね。5,6年前に出題された問題が出ることはあっても、昨年の問題が今年も出るなんてことは、まず、ありえません(絶対にといえないところがミソですが…)。過去問題は傾向を見るために研究するのです。また、直前に解くのは、本番で時間配分を間違えように実践的な訓練をするためです。
だいぶ長くなりました。今日はこの辺にしておきましょう。
過去問題の研究は必須です。でも、最後の合格の決め手は、地道な勉強で暗記ではなく本当の学力を身につけることです。要領のよさだけでは受からない、だからこそ、一般入試で失敗した人も成功できる、それが編入試験なのです。過去問題はさらに合格を確実なものにするために、利用したいものですね。

情報を収集するときの注意

月一連載ではなく臨時増刊になりがちな「独り言」のニュ-バ-ジョンがやっと登場です。
本題に入る前に一言、試験の早い国公立理工系編入試験で中ゼミ生の結果報告がぼちぼち届き始めました。昨日はお茶の水女子、山口、岡山への合格報告がありました。合格したみなさん、本当におめでとう。本番はまだまだこれからです。受験生のみなさん、がんばりましょう。
さて、今回は、編入試験の情報収集に関する注意です。


編入試験の困ったところは、情報が入手しにくいところです。なんといっても、試験要項のできるのが遅い!
中ゼミでは毎年その年の編入試験日程表を作成していますが、最初の国公立理系は、これはやたらに試験日が早く6月や7月が中心、一方文系に関しては初回の調査を7月に行いますが、まだ半数以上が試験要項ができていません。大学によっては秋、あるいは年明けにできるところもあります。従って、年2回、3回と、日程表を更新することになります。それでも私立大学の場合は試験要項ができていなくても日程が決まっていれば教えてくれますが、国立はだめ。多くの大学が「できあがった試験要項を見てください」の一点張りです。かと思うと、試験要項ができたと思ったらすぐに願書受付期間、気づいた時にはもう出願が間に合わないという大学もあります。ご用心!
ですから、中ゼミが毎年出版している「編入・転部ガイド」も昨年度の情報を掲載することになります。要注意なのは雑誌です。新しい情報かと思えば、実は1年前の試験日程であることが多く、それがまた、小さな注意書きを見なければわかりません。
結局、何回も大学に電話して確認するしかないわけです。それでも最近はインタ?ネットで試験日程を確認できる大学が増え、本当に便利になりました。
ところで、インタ?ネットで編入を検索すると驚くほどの情報量を得られるようになりました。ただし、取捨選択が絶対に必要です。時々、びっくりするような誤った情報が堂々と掲載されていることがあります(もっとも中ゼミに相談に来た方が他の予備校で聞いてきたという情報のいい加減さにも驚きますが…)。特に個人の発信する情報には思いこみや憶測が混じっていますから、そのまま鵜呑みにはしない方がよいでしょう。たとえば、その人がこういう方法で編入に合格した(と本人は思っている)、だからといってその人のやり方が誰にとってもベストであるわけでもないのです。あくまで参考例です。
たとえば筆記、特に本人が意識して受験勉強をしていなくても、普段から専門科目に関心があって本によく目を通していたり、社会の動きに興味があってしっかり新聞を読んでいたりすれば、試験問題によっては合格答案を作成できるでしょう。また、英語が好きで勉強していればそこそこの点数は取れたりもします。つまり、受験勉強をどの程度しているかではなく、日頃どういう問題意識や興味を持って生活しているかが試験結果にも反映されるわけです。さらに、編入試験では筆記だけではなく、面接や事前提出の志望理由書で本人の勉強に対する意欲をみるところがポイントです。つまり、一般入試とは異なり、編入試験では学力に加え学問に対する関心度や資質が評価されるわけです。
おもしろいのは面接です。先日、ある地方の短大を講演で訪れたとき、先生が生徒指導に大変熱心で私もいろいろと勉強させて頂いたのですが、その中で「なぜ、自分のところの学生が地元の国立大学の編入試験に不合格になったのか、大学へ聞きに行った」(それもすごい)という話がありました。結局合否は面接での評価で決まったらしいとのことで、その先生曰く「うちの学生は地味でおとなしくて、関西から来た自分のことを堂々としゃべりまくる学生に負けた…」とくやしがっていました。よくある話なので内心「クスッ」と笑ってしまいました。それにその先生も関西弁なんですものね。でも、おそらく関西から来たという合格者は、自分が面接で堂々としゃべりまくったから合格したとは思っていないでしょう。感想を聞くと「簡単に受かった」ということになるのかも。
中ゼミでもよくある受験情報や合格体験談が、「ろくに準備もしなかったのに簡単に受かった」というものです。合格した後の感想にはいくつかのパタ?ンがあるのですが、「努力が報われた」と素直に喜ぶ人がいれば、受かったとたんに「私そんなに勉強してない」という人もいます。後者は本当にそうである場合もあるし、先生方が「いやあの人は勉強していた」という場合もあります。本人の中で、もっと勉強しなければ受からないと思っていたのがあっさり合格してしまったということもあるでしょうし、勉強していないのに受かったと言った方がかっこいいと思っているケ?スもあるでしょう。また、中ゼミに相談に来る人の中には、「短大で合格した先輩の話を聞いたら、そんなに勉強しなかったのに受かったって言ってるから、予備校に来る必要はないんじゃないか」と言う人がいます。罪作りな先輩ですね。
  さて、今回は本当に独り言になってしまいました。最後に、全く編入に関して知識のない方が、大学に問い合わせる際、聞いておきたい事項についてあげておきます。
?志望する学部・学科の編入試験実施の有無
?実施している場合、受験資格・試験科目・試験日程・編入年次を聞く。自分が受けられるか確認する。(国立は要項をみてほしいということが多い。)
?編入試験要項・過去問題・大学案内(パンフレット)・学部案内(国立は作っているところが多い)を取り寄せる方法を聞く。できれば講義内容のわかる資料もほしい(なぜ必要かは次回の独り言<志望理由書・面接対策>で)。試験要項が出来ていない場合は、いつ頃出来るか確認する。過去問題などは郵送がだめなら、大学に行って閲覧することはできるのか、確認する。
?その他、入学後の単位認定その他、合格状況など、関心のある事項について聞く。
以上です。次回は志望理由書・面接について、また、ぶつぶつとお話ししてみたいと思います。8月19日に中ゼミで志望理由書・面接対策ガイダンスをするので(校外生も歓迎!)、その後ですね。また、遊びに来てください。

編入試験アレコレ

編入試験って実は30年以上前からあったって知っていますか? 現に中央ゼミナールの名物講師、S先生は、30数年前に短大から4大へ編入したという経歴の持ち主。そして、当ステップアップサポート部の始まりは、今から33年前。それが、ここ7、8年くらいで熱くブレークしたのは、まずは少子化・不況で大学経営も生き残りをかけた冬の時代に入り、学生確保の一つの手段として編入が注目されたことにあります。関西の立命館大学はさすがに早かった。既存の学部学科に多くの編入定員を設置したエネルギーにはびっくりさせられました。それ以降変わることなく、編入に関しては西高東低。慶應義塾は自大学通信教育学部からの編入しか(それもむちゃ難関)実施していないし、早稲田も二文や社学(H13から一般編入開始)を除くと学士編入のみ。欠員募集でも良いから一般編入試験を実施してくれると、大学側も受験料収入が入ってよいと思うのですが…さすがに早慶、経営的には余裕と言うことでしょうか。
第二の理由は、4大進学が難関だった頃に、もともと4大志望だった短大生や目的を持った学士が意欲的に編入し、大学でも頑張って勉強したこと…、大学がレジャーランド化したと言われる時代に「編入生、やるじゃん」という印象を大学側に植え付け、1年から入学している学生達の刺激剤になると大学側が考えたことが、編入生受け入れが進む一因となりました。つまり先輩方の頑張りです。名古屋の教育に行った中ゼミ生からは、「先輩方がよほど頑張ったのか、編入生は出来ると思われているので、大変。でも、この伝統を守っていきたい。」という感想が寄せられています。大阪の法学部に編入した中ゼミ生からは「編入生は年齢もさまざまで20歳なんてまだまだ。それぞれがしっかりと目的や勉強したいことを持っているので刺激になる」との感想。ただし、一方で、昔から中ゼミが編入・転部について使っていた「敗者復活戦」を通り越して、「リベンジ」受験する人も増えてきており、志望の大学へ編入したはよいが、その後何をしたらよいかわからない、っていうケースもあるようです。きっかけは何でも良いのですが、編入は入った後に何を勉強したいのかと云う目的意識が大事です。そこだけは明確にしておいてほしいと思います。
手前味噌ですがもう一つ、中ゼミもここ10数年、編入という制度を知っていただきたくて、資料集を作って全国の短大に配付したり、市販本を作ったり、頑張ってきました。今はいろいろなところが編入に関する本を出していますが、何もないところから始めた10数年前は、大学に電話しても教えてもらえず(というか大学職員も編入に関する知識がない)、本当に苦労しました。今の編入人気に一番驚いているのは、私かも…。 
お待たせしました。それでは本題に入りましょう。なお、この「部長の独り言」の部分は、1月に1回更新する予定です。(え? 不要ですか。 ん?、私の楽しみということでお許し下さい。)

部長のひとりごと

編入したいという方が相談に来たら、心から入学を勧めることができる、そういう職場にいる私は、たぶん、生活のために意に添わない仕事に就いている多くの方よりもずっと恵まれていると言えるでしょう。それも、皆さんの熱意と真剣な思いがあってのこと。中ゼミでの16年間はそういう学生との出会いの場でした。一緒に泣いたり笑ったりしながら、私自身が自己実現してきたと言えます。そんな中ゼミでの毎日の中で、皆さんに伝えたいと感じたことを少しずつ書きためてきたのがこのコラム。あくまで独り言です。勉強の合間に気軽に読みとばしていただけたらと思います。