面接のお話

いよいよ試験の真っ直中です。大学院の秋期試験はほぼ終了、社会人入試・編入試験は今がピ?クです。
生徒の話では、東京のある女子大学英文科の編入試験を受験したところ、受験生の多くが中ゼミ生で、緊張せずに臨めたとのこと。筆記試験が終わった後は友人同士で模擬面接をやっていたら(随分余裕ですね)、他の中ゼミ生が「私何もやってない!?」と慌てて、「何を聞かれるかポイントを教えて?」というので、その場で練習をしたとのことでした。もちろん、面接本番は慌てずに答えることができたそうです。それにしても、中ゼミでは個別に模擬面接も行っているし、大学別の面接実施状況の資料も配付しているのに、面接の準備をしていない生徒がいるとは…と、がっかりしたりあきれたりでした。よほど筆記に自信があったのでしょうか。


さて、今日は面接の対策についてお話ししましょう。  大学院・編入・社会人、別々の試験ですが、基本的に相手の大学側がチェックするのは次の3点です。
A 志望動機
B 人柄・コミュニケ?ション能力
C 現実として通学可能か
Aは、具体的には次の通りです。
?なぜ、その学科・研究科への進学あるいは編入を志望するのか。
?入学後の学習計画(社会人)、研究テ?マ(編入)、研究計画(大学院)
?なぜ、その大学・大学院を志望するのか
?卒業・修了後の進路
ここで大事なことは、自分が受験する試験の性格をしっかりと把握して、明確な目的意識を打ち出すことです。社会人入試であれば、社会人として何を学びたいのか、編入であれば3年次の専門課程からの入学で何を研究したいのか、大学院であればすでに大学を卒業した者が自分の関心領域についてさらに深く研究する場所であることを念頭に研究内容を、明らかにします。大学が大衆化された今、高校生が大学に行くことについては、あえて理由を問う人は少ないでしょうが、社会人入試・編入・大学院入試については、まだまだ特定の人が受ける試験です。そこで求められるのは、大学の本来の姿、つまり勉強に対する意欲になります。特に?については大学・大学院、あるいは担当した面接官によっては、深く厳しく突っ込んでくるところもあります。大学院受験ではここが最重要ポイントです。事前提出の志望理由書・研究計画書がしっかりしていると、楽です。逆の場合は、学校によっては合格が難しくなることもあります。
Bはごく簡単にいうと会話のキャッチボ?ルができるかどうか、ということです。最近、大学では学生のコミュニケ?ション能力の低下が問題になっています。精神的なケアを必要とする学生も増加しています。大学院では指導教授や研究室の人たちとうまく人間関係をとれるかどうか、編入では中途入学による孤独感を乗り越えて最後まで通学できるかどうか、社会人入試では若い学生と一緒にやっていけるかどうかが、会話を通して判断されます。質問事項はさまざまですが、たとえば性格、自己PR、愛読書その他があげられます。社会人については、若い人と一緒にやれるかと直接的に聞かれることがあります。また、看護医療系や社会福祉のように、将来、就職した際の適性をみられることがあります。
Cは、学費が払えるか、通学時間はどのくらいか、社会人であれば職場や家族の理解を得ているのか、など、現実問題として入学が可能かどうかということです。特に社会人の場合は、必ずといってよいほど確認されます。また、東京在住者が関西を受験する場合なども、本当に通学する意志があるのか、問われるでしょう。
頻出度別に確認すると、Aは、社会人入試・編入・大学院共通の必出ポイントです。Bは、特に社会人入試・大学院社会人入試、編入でも社会人の場合、学生でも看護医療系や福祉・心理の分野などでチェックされます。Cは試験区分を問わず、社会人が聞かれます。  さて、上記のA・B・Cがどこの大学・大学院でも注目する重要なポイントとすると、その次に大事なことは何か、ということになります。次のようなことが考えられます。
D 現代社会に関する問題意識
E 出身・在籍校の成績、卒論
F 筆記試験の出来
上記については、大学・大学院によって質問されるかどうか異なります。その他、併願校の有無、受験勉強の方法なども、よく聞かれる質問です。
それではどう答えればよいのか、これは皆さんが考えなくてはなりません。それも受験に対する意欲を高める大切な作業です。模擬面接をしてもらえる中ゼミ生がうらやましい? 本当にそうですよね。権利はしっかりと行使して欲しいものです。
さて、皆さんが気になるのは面接の重要度でしょう。これは大学・大学院によって異なります。参考程度のところ、筆記が出来ていても面接で落とすところなど、いろいろです。いずれにせよ、甘く見ないことです。筆記の成績がずば抜けて良くても「なぜこの大学を受験したのか」と聞かれて黙っていたのではやはり落ちます。実際にそういう人がいました。この人は練習で受けた私立大学で答えられずに失敗し、ずっと偏差値の高い国立大学には合格しています。逆に、筆記の結果は合格点に少し足らなかったけれども、面接で意欲を買われて合格している人も、珍しくありません。
面接官も人間です。あまりに印象が悪ければ落とす、逆に印象がよければ合格させる、そういうこともあるのです。  試験たけなわの11月、皆さんの参考になるとよいのですが。ご健闘をお祈りいたします。