編入試験の過去問題

またまた2ヶ月が経過しました。再び、お詫びを申し上げます。
さて、今回は編入試験の過去問題について、お話ししましょう。
編入試験では過去問題のチェックが本当に大切です。それはどうしてでしょうか?
編入試験の筆記試験は語学(主として英語)と専門科目です。この専門科目がくせもの。大学一般入試では基本は高校の教科書です。生物も日本史も高校の教科書を完璧に理解してマスタ?すれば、どこの大学の受験でも7割はとれるはず。文部省はセンタ?試験で8割はとれると言っています。(もっとも私は一般入試には詳しくないので、例外もあるのでしょうが…。)
では、編入試験ではどうでしょうか。たとえば法律学科を例にあげてみましょう。法律学科の場合、一口に専門といっても、?法学概論、?憲法、?民法、?時事問題と分野はさまざまです。???はそれぞれぶ厚いテキストがあるし、?に至っては、新しすぎてまだ本にもなっていないテ?マが出題されます。受験生の皆さんは、一度は勉強する範囲の広さという壁にぶつかって、呆然としてしまうでしょう。何から手をつけたらよいのかわからないという状態です。しかも、試験要項には「専門」とか、「論文」とか、「法学・政治学の基礎知識」とかしか書かれていません。中には「法学概論」と書いてあって民法が出題されていることもあります。この場合の概論とは、一般教養レベルであることを示しているのであって、出題の分野ではないわけです。これでは一体何を勉強したらよいのか、迷ってしまいますよね。


しかし、過去問題を調べてみると、大学によって?が出題されているところ、?が出題されているところ、あるいは??という組み合わせで出ているところなど、ある程度の傾向を読むことができます。?は出題大学が国立に限られ少ないことも分かるでしょう。過去問題の研究によって、勉強する範囲を絞ることができるわけです。
国公立の法学部でいうと、最近、課題文を提示しての小論文形式が増えていること、でも、小論文ならと考えて甘く見ていると、実際は専門の知識がないとよい答案が書けないこと、また、法律学だけではなく政治学の知識も時には必要になることが分かるでしょう。
学科ごとに過去問研究のポイントをアドバイスすると
英文学科なら、文学史や英語学の専門が出題されるのかどうか、リスニングや英会話があるのかどうか、トフル式の問題か、中ゼミで言うところの大学院型か、論文は専門性が強いのか一般小論文か、などをチェックしましょう。
日本文学科なら、現代文・文学史・古文・国語学・漢文・変体仮名・小論文(専門・一般)からどの分野が出題されているのか、チェックします。
社会学科なら社会学の理論が出ているのか、時事問題が出ているのか。
経済学科なら近代経済学か、時事経済か、あるいは両方か、さらには経営学は必要かどうか。
経営学科なら経営学の理論か、時事経済か、あるいは両方か、さらには経済学は必要かどうか。
英語についても同様で、中ゼミでいうところの大学院型、長文総合型、一般入試型のどれに当たるのか、英作文は出題されるのか、などで対策は異なってきます。
受験勉強する時間があまりとれない、あるいは試験まで期間がない場合は、科目数や勉強する範囲を絞ることが、合格への近道です。まずは、過去問に関する情報収集です。
ところで、大学の編入試験過去問題公表率はわずかに約50%です。つまり、半数の大学は過去問題を公表していないことになります。これはどうしてか?ということですが、10年も前から中ゼミで考えているのは、一般入試に比べて受験者の少ない編入試験では、問題作成もつい手を抜きがちになる…、受験者が場合によっては数人しかいない試験に時間はかけられない…、その証拠に英語なんか誤植だらけ…、こんなことは一般入試では絶対に許されない…、単に原書からコピ?して切り張りしただけという問題紙もよく見かける…、だからみっともないので公表しないのだろう…ということです。まあ当たらずとも遠からずでしょう。英語に大学院型の出題が多いのも、問題作成が楽だからという見方が成立します。だいたい英語の問題を作るのが専門科目の先生で、文法なんか当のご本人が忘れてしまっている、ということもあるでしょう。要するに読めればよいわけです。
問題を公表していない大学には国公立が多くなります。そうなると、過去問題が研究できない、どうしたらよいのだろうということになります。相も変わらず手前味噌で言うと、中ゼミのような予備校には以前受験した学生からの情報がありますから、おおよその傾向は掴めます。これは絶対に有利です。東大法学部の学士編入の問題があるかという問い合せを今春数件受けましたが、「ありますよ」と答えられるのは、私にとって本当に誇らしいことですね。
でも、中ゼミ生でない場合は、あるいは中ゼミ生でも新しく試験を始めるなど全く情報のない大学を受ける場合は…。これはとにかく頻出順に全範囲を勉強するしかありません。条件は皆同じです。過去問題が入手できないから合格できない、と言っても仕方がありません。さきほどの学科ごとのアドバイス、これを全範囲やることになります。でも、本来はそれが基本です。試験の傾向は変わることもあるわけですから。
また、中ゼミ生には「私は何ヶ月も前から過去問題を勉強していたのに不合格で、直前に過去問題を解いた友人は受かった」という人が時々います。これもおおいなる勘違いですね。5,6年前に出題された問題が出ることはあっても、昨年の問題が今年も出るなんてことは、まず、ありえません(絶対にといえないところがミソですが…)。過去問題は傾向を見るために研究するのです。また、直前に解くのは、本番で時間配分を間違えように実践的な訓練をするためです。
だいぶ長くなりました。今日はこの辺にしておきましょう。
過去問題の研究は必須です。でも、最後の合格の決め手は、地道な勉強で暗記ではなく本当の学力を身につけることです。要領のよさだけでは受からない、だからこそ、一般入試で失敗した人も成功できる、それが編入試験なのです。過去問題はさらに合格を確実なものにするために、利用したいものですね。