志望理由書についてその1?校内生からの質問を受けて?

 いよいよ、志望理由書作成の時期になりましたね。言い換えれば試験が近づいてきたということ、緊張も高まってドキドキしていませんか。中ゼミにも連日多くの学生が、指導を受けに来ています。面談室を覗くとスタッフも学生も本当に真剣そのものです。
 でも、中には
   「明日、締めきりなんです!今すぐ見てください!」
   「どうしても2000字が埋まらないんです。何を書いたらいいんでしょうか?」
   「この大学を志望する理由がみつかりません。どうしましょう?」
 おやおや、いつかどこかでみたような…とういうか、実は毎年見る光景ですね。追い込まれる前になるべく早く来てほしいのですが…。でも、たいがいは、できる限り協力して、許された時間の範囲ですが、ベストを尽くして何とか間に合わせます(もちろん、もっと時間をかけたいのはやまやまですが)。それでよいのか…と問われたとしたら、「よい悪いではなく、学生が合格するために、できる限りのことをするのが私の仕事」と答えるでしょうね。


 さて、志望理由書については、質問掲示板で随分取り上げられていますが、その中で、校内生からいくつか気になる指摘を頂きました。
 その一つが、『全国一律フォーマットの怪』というタイトルで書かれているスタッフコラムの内容が、中ゼミでの志望理由書の指導とは異なるのではないか…という指摘です。内容を検討して誤解のないように先生に手を加えていただくつもりでしたが、少々大げさな言い方である上に非常に辛口ではあっても、一概に間違ったことを書いているわけではないので、現状ではそのまま掲載してあります。
 具体的には大学を志望する理由に「カリキュラムが豊富で環境が整っているから」とか、「多岐に渡ったカリキュラムが魅力的だから」とか、書く学生があまりに多すぎる。それでは、「自分の価値を伝える手だてにはなっていないのではないか」というのがコラムの内容でした。
 それでは、大学のカリキュラム上の特徴に触れることがいけないのでしょうか。
 もともと、志望理由書でその大学の特色を取り上げて書くのは、現役生(高校生)の推薦入試などでよく使う手法です。まだ、大学での勉強内容はわからないわけですから、よほど個性的な理由がない限りは、どうしても、それを書かざるを得ないわけですね。結果的に志望理由=その大学を志望する理由となる傾向が見られます。かつ、それを書くのに利用するのは、受験生全員、同じ資料(ホームページ、大学のパンフレット)です。どうしても似たり寄ったりの内容になりがちです。これが、全国一律フォーマットの原因ではないでしょうか。
 ところが編入の場合は、研究したいことがその大学でできる、その大学であれば専門的に学べる、だから受験する、という学習や研究上の理由を、求められます。また、これがもともと文部科学省が編入制度を推進してきた本来の目的でもあるんです。
 したがって、その大学を志望する理由としては、自分が研究したい内容に、その大学が適している、だから受験する…ということが伝わる内容で書くことがベストですし、大学側が望む受験者像に一致しているとも言えるでしょう。現役生の推薦入試とは少々異なるわけですね。
 でも、現実問題としては、それでは書けないこともたくさんあります。研究したいことがどこの大学でもできることだったり、逆に、なかなか専門の先生がいないためにそのものずばりの大学が見つからないこともあります。また、受験の目的が必ずしも特定分野に対する学習意欲だけではなく、その大学自体に魅力を感じているためということも当然あるでしょう。それに、確実に受かるためには複数大学の受験も必要ですし、その中には必ずしも学習環境が整っているとは言えない大学があっても不思議ではありません。
 受験生にすれば、受けるからには滑り止めでも受かりたい、当然ですね。そして受かるためには、その大学を志望する理由を明確にしなければなりません。このような場合には、その大学の特徴に触れてもかまわない、というよりも、それ以外に書きようがない、というのが実際です。それに、事前にカリキュラムをきちんと検討して、面接できちんと説明できるようにしておけば、面接を参考程度とする多くの大学は納得してくれます。
 ですから、「その大学を志望する理由」に関する中ゼミの指導としては、
  ? 自分の研究テーマと結びつけて書く
  ? ?で書くことが難しい場合は、その大学のカリキュラムの特徴などを取り上げる
ということになるわけです。
 実際に中ゼミ生がどちらで多く書いているかと言われると、う?ん、私が見ている学生では半々かな。あまり自信はないけれど…。なぜかというと、実は私が重きを置いているのは、編入の動機、入学後の研究テーマの部分であり、その大学を志望した理由は、それほど意識していないんです。大学に対する情報の発信源が同じ(ホームページや大学案内)である以上、ある程度似たり寄ったりの内容になるのはやむを得ないし、あの先生がいるから、この先生がいるから、などと書くのはリスクが伴います。気を遣うのは、この点についてうるさい大学の時だけです。それも志望理由書で書けることは行数が限られますから、具体的な対策はその後に行う面接指導であらためて扱っています。
 中ゼミには、学生が勉強に対して高い学習意欲を持って、編入試験にチャレンジすることを期待する、ほんとに真面目な学習スタッフが大勢います。でも、同時に受験のプロとして学生を合格させることに力を注がなければなりません。コラムを書いてくれた先生も当然それはわかっています。コラム中の「大学を褒め称えることは間違っていないにしても…」の文面からもわかるように、?で書くことを頭から否定しているわけではありません。でも、あえて厳しいことを書いたのは、?で書く学生があまりに多すぎる、これから志望理由書を書く学生には、できるだけ?で書いてほしい、という気持ちの表れでしょう。
 校内生はとにかく志望理由書を持って指導を受けに来ること、そうすれば、スタッフの熱い気持ちもわかっていただけると思います。サポート生もどんどん送って下さい。添削指導を受けられない校外生の方にはちょっと気の毒ですが、このサイトの中に、志望理由書を書くヒントはいろいろとあります。活用してください。
 長くなったのでいったんここでストップしますが、このテーマは次回以降も取り上げていきたいと思います。