歴史系編入学試験の概要と特徴について

こんにちは、歴史系担当のsusacです。本日は歴史系編入学試験の概要と特徴についてお話したいと思います。内容は1、歴史系分野で学べること、2、歴史系編入学の試験の特徴に分けてご案内致します。

1、歴史系分野で学べること 

 歴史系分野は、大きく日本史、西洋史、東洋史に分けられます。史学科で学べる内容は幅広く、ある時代の文化様式がいかにして広まったのかをみる文化史や、ある都市がいかに形成されてきたのかをみる都市史、さらにはある時代の新聞や雑誌、映画の内容が同時代の国民にいかなる影響を与えたのかといったメディア史・社会史なども研究可能です。また近年は国家間の外交がいかに展開されたのかを複数の言語を駆使して調べる外交史も盛んになりつつあります。その他やや硬いテーマでは、ある国の政府と軍隊の関係がいかなるものであったのかを調べる政軍関係史・政治史なども可能です。

 どの大学にどのような研究をしている先生がいるのか、またどの大学でいかなる授業が受講可能なのかシラバスを確認しつつ、研究したいテーマについて思いを巡らすのも楽しいでのはないでしょうか。 

2、歴史系編入学の試験の特徴

2-1、語学 

 歴史系編入学試験における筆記試験は語学+専門試験という形式をとるところがほとんどです。ここでは筆記試験の中でも語学、そして語学の中でも最も選択されることが多い英語について述べていきます。

 歴史系編入における英語の筆記試験は他の人文学分野と同様、英文和訳が中心となります。もっとも歴史系編入においては、必ずしも有名校であっても高難易度の英文が課されるわけではありません。基礎的な英文法を押さえ、地道に英語の長文を読む練習を繰り返していけば、文章の大意をつかむことは可能になります。もっとも編入学試験においては、文章の大意をつかむだけではなく、それを正確に訳出しなければなりません。したがって、正確な和訳ができるように訳出の訓練を積むことが重要です。また、歴史学の専門的な英単語が出てくる場合もあるので(例えば、crusade=「十字軍」など)、歴史学系の英文に慣れておく必要もあります。しかしこれらの訓練を積めば、十分太刀打ちできるようになるのが歴史系編入における語学の試験と言えるでしょう。 

 なお、歴史系編入においてTOEICやTOEFLといった語学スコアの提出を求めるところは限られています。もっとも、大学によっては提出は義務づけられていないものの、語学のスコアを持っていれば面接でアピールできる可能性が考えられます。とりわけ西洋史研究を志す人は、英語のスコアのみならず研究対象地域の言語のスコアを持っていれば、その地域研究を行う語学能力を有すると面接でアピ―ルできるでしょう。また日本史研究志望の人も、日本と他国の外交関係を研究する外交史研究や、日本と他国の政治体制の比較を行う比較史を志す場合には、日本語以外の言語も駆使した研究が可能であるとアピールできます。さらには将来的に留学も可能であるというアピールにもなるかと思われます。以上を考えれば試験に必須ではなくても、無理のない範囲で語学のスコア取得に挑戦することは長期的にみて有益かもしれません。

 2-2、専門科目 

 歴史系編入における専門科目(日本史、西洋史、東洋史)の特徴は、記述式の試験であるという点に求められるでしょう。専門試験は大きく①語句説明問題、②論述問題に分類できますが、重要なのは①・②いずれも、背景・原因・結果といった因果関係を踏まえて記述する必要がある点です。したがって単に歴史上の出来事を覚えるだけでなく、それが歴史上においていかなる意味や意義を持つのか、いかなる因果関係のもとに起こったのかを常に考えて勉強をしていく必要があります。その意味で歴史系編入における専門試験は、考える力が不可欠です。加えて、それらを試験官にわかりやすく伝えるための論述力も必要になります。大学によっては指定された字数、行数内で書ききることを要求するところもありますので、それらに対応するための訓練は必須です。 

 以上の試験内容の記述を見るとハードルが高いと思われるかもしれませんが、これらのハードルをクリアできれば、自分のやりたい歴史研究にどっぷりとつかることが可能です。歴史上の人々は、現在の我々とは大きく異なる価値観や行動基準のもとに動いてます。その意味で歴史は「異文化」ですが、歴史系の学部に編入して、その「異文化」に没入してみてはいかがでしょうか。 

「人文系」ではどんな勉強をするの?

こんにちは、しらのです。

 春休みも半ばになってきたので、編入試験について情報をいろいろ書いていきます!
 でもその前に今回は、そもそもこのブログの「人文系」ってどんなものなのか、人文系の各分野にどんなふうに触れていったらいいのか、ざっくり説明したいと思います。


 「人文系」というのは、平たく言えば「テキストを読むこと・書くことに関心を持ち(文学・言語)、またテキストの読解・作成を通じて事実(歴史)や物事の本質(哲学)をつかもうとしてきた」分野です。また、広く創作活動も研究対象になるので、芸術作品などについて勉強したいというときにも人文系というくくりで考えます。

 ただ、上に出てきただけでも「文学・言語・歴史・哲学・芸術」と、自分には何が向いているんだろうと迷ってしまいますよね。そういう、どの分野の学科にしようか迷っている方、新たな分野に挑戦しようという方は、まずはその分野がどのようなものか、イメージをつかむことが大切です。以下では各分野で最初にどうアプローチしたらいいか、 ご紹介します。


文学系・哲学系
 ・・・芸術もそうですが、まずは作品や考え方に触れてみましょう。お勧めの文学作品や読み物を、以下に挙げておきます。

 英文系・・・ヘミングウェイ『老人と海』、シェイクスピア『十二夜』など

 日文系・・・夏目漱石『夢十夜』、芥川龍之介『鼻』など

 独文系・・・シラー『ヴィルヘルム・テル』、カフカ『変身』など

 仏文系・・・ヴェルヌ『十五少年漂流記』、モーパッサン短編集など

 哲学系・・・『ソフィーの世界』(NHK出版)など

 これらの分野にある程度親しみがあるという方は、各国文学史や哲学史などの入門書に当たり、大まかな時代ごとの特徴や変遷をつかむようにするとよいでしょう。加えて、日文系の古典の読解については、高校時代の教科書でいいので、古文の基礎を復習しておくとよいですね。

歴史系
 ・・・これまで全く歴史に触れずに来たという方はいないと思います。市販もされている山川出版社の歴史教科書をベースにして、時代の流れを追っていきましょう。

言語学系
 ・・・言語に対しては、音、意味、文法、使われ方など、さまざまなフォーカスの当て方がありえます。自分の関心のある言語の興味深い表現や現象をピックアップして考えてみるとよいでしょう。入門書としては、黒田龍之介『はじめての言語学』をお勧めします。


 今回の案内は以上になります。受験プランやもう少し具体的な勉強法などについて聞いてみたい方は、以下のURLを参考に、中央ゼミナールの説明会や事前相談をご利用ください。お待ちしてます!

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