(苦手な人向けの)編入英語試験の対策・勉強法

こんにちは、しらのです。
人文系の各分野の編入試験について、いろいろなスタッフの方に一通り説明してもらったので、今回は科目に焦点を当てて、表題のとおり「(苦手な人向けの)編入英語試験の対策・勉強法」についてお話ししたいと思います。


1. 単語と文法

まずは、単語と文法の習得です。
もちろん、いずれも知識があればあるだけ、身に付いていればいるだけよいのですが、勉強できる時間には限りがあり、かつ自分のキャパシティを超えた内容を理解するのは難しい、というのを前提に置いて考える必要があります。

たとえば英語が苦手で不定詞の使い方を見分けられないという人が、大学受験用の文法問題集を何周もしようとしたとしても、結果には容易に結びつかないでしょう。そういう人は消化しきれていない勉強をする前に、「それぞれの品詞がどういう役割の言葉か」の理解に努めながら、中学文法をもう一度さらう必要があります。
単語にしろ文法にしろ、自分がどのレベルにいるかを分析して、まずはそのレベルでの知識の定着を目指すことが重要です。とりわけ人文系は他の分野よりも文章の読解が求められる状況が多く、基礎を盤石にすることが最優先です。


2. 辞書の使い方

その上で、品詞と文型(S・V・O・C)を一通り学んだ人に並行して身に付けてもらいたいのは、特に動詞に関してですが、辞書の使い方です。
英文を読むのに慣れていない多くの人にとって辞書を使う状況と言えば、わからない単語が出てきたときに意味を調べる、といったところでしょう。でも、読解や和訳(・英訳)のためには、もう一歩進んだ利用法が必要です。

たとえば”keep”という語について、「持ちつづける」という意味しか知らなかったとしましょう。そんな時に”He keeps awake.”という文に出会うと、「彼は目覚ましを持ちつづける??」なんて訳しかできないかもしれません。
ところが、”keep”という語を辞書で調べてみると、たくさんの意味があり、それも「文のかたちによって意味が変わっている」ことがわかります。たとえば私の手元にあるジーニアス英和大辞典だと、こんな風に説明が出ています。

 [SVO(M)]→持ち続ける、自分のものとする

 ・・・(中略)・・・

 [SVC]→ずっと・・・のままである

  ※一部記号を簡略化してあります。

私たちの知っている「持ちつづける」という訳は、[SVO(M)]というかたちをとったときの訳だと説明されています。Oは「目的語」、Mは「前置詞から始まる句」*ですから、「Sは(Mという状態で)Oを持ちつづける」というかたちの文の時に(例:”The police keep him in prison”=「警察は彼を拘留している」)、”keep”は「持ちつづける」という意味になる、というわけです。
これに対して、”He keeps awake.”の”keep”は「持ちつづける」という意味にはなりません。”awake”は形容詞で、目的語にはなれないからです。”keep”の直後に形容詞が来るこの文のかたちは、下にある[SVC]、つまりは”keep”の直後に補語が来る、「ずっと~のままである」しか当てはまりません。したがって、正しい訳は「彼は起きっぱなしである」となります。

*正確には「修飾語句」ですが、これはこれでややこしい言い回しなので、説明にあたり変更しています。


以上のように、特に動詞に多くある多義的な語は、「前後にどのような品詞/語が並ぶか」によって意味が変わってくるので、その「文/表現のかたちを突き止めるために辞書を使う」ということが不可欠になってきます。これは実は、英語に限らず、どの言語を勉強する際にも当てはまることです。もちろん品詞やS・V・O・Cを理解した上で、しっかり辞書を使えるようになりましょう!