前回に引き続き、中央ゼミナール人文系指導スタッフのおかわりです。
英文系、日文系以外にも大学では様々な言語にまつわる文化や文学を学ぶことができます。中でも代表的なフランス語系、ドイツ語系、中国語系についてお話しましょう。
大学の文学・言語系の学科では語学の授業がとても充実しています。しかし語学を勉強すること自体が学びの最終目的ではありません。たとえばフランス文学科やフランス語学科で学べる内容は、フランス語圏の文学作品(ボードレールの詩やユーゴーの小説など)や芸術(モリエールの演劇作品やパリ・オペラ座のバレエ、フランス映画のヌーヴェルヴァーグなど)、言語学(フランス語学)、フランス現代思想(バルト、フーコーなど)、フランスの社会(ライシテをはじめとした宗教政策など)、フランスの文化(料理、ファッションなど)といった内容であり、フランス語の勉強はあくまでもそれらを学ぶための手段です。ですから編入試験を準備するにあたっては、語学を勉強するだけでなく、その言語が使われている国々の文学、文化、社会、歴史について知識を得ておくことが必要です。専門試験でそれらを問う大学もあります。また面接では編入後の研究テーマが訊かれます。語学を勉強するとともに、その言語に関わる何を勉強したいのか、ということを準備しておくことが求められます。
以前はフランスについて勉強したい場合は「フランス文学科」、「フランス語学科」、ドイツについて勉強したい場合は「ドイツ文学科」、「ドイツ語学科」を志望することが一般的でした。しかし近年、地方国公立大学を中心に学科の再編が進んでいます。仏文、独文、英文学科を統合して「ヨーロッパ言語文化」(岩手大、富山大)、「ヨーロッパ・アメリカ文化」(埼玉大)、「欧米言語文学」(熊本大)という形のコースになっていることがあります。また中国文学科、中国語学科も日本文学科、日本語学科と統合され「アジア圏文化」(岩手大)、「日本・アジア言語文化」(埼玉大)、「東アジア言語文学」(熊本大)コースとなることもあります。地方国公立を中心に編入試験を行っている大学は多くあるので、学科名に惑わされずに自分に合った志望大学を見つけていきましょう。
編入試験で求められている語学力ですが、東京外国語大学、お茶の水女子大学、上智大学といった難関大学では、長文の読解やライティングが試験の中心になります。MARCHレベルの大学になると、長文読解だけでなく、文法問題が出題される大学もあり、若干ハードルは下がりますが、いずれにせよ最低でも語学検定試験で2~3級を取るくらいの語学力は必要です。これは一般的な大学2年生が第2外国語の授業で勉強するレベルを大きく超えています。英語がとても苦手で、大学の第2外国語で中国語を取っているから中国文学科を受験したい、といった感じではなかなか編入試験には対応できないので注意しましょう。