志望理由書の書き方について

歴史系指導スタッフのsusacです。今回は編入学試験に特有の志望理由書についての注意事項について書き連ねてみたいと思います。当校で開催している説明会などではよくお話するのですが、編入学試験においては筆記試験が重要なのはもちろんなのですけれども、それに劣らない重要性を持つのが今回お話する志望理由書という書類になります。大学によっては一次試験の合否をこの志望理由書(名称は大学によって異なる)で判断し、不合格の場合には筆記試験に進ませないという大学もあります。また大学によりますが、多いところでは2000字近く書かせるところもあります。


1、志望理由書とは

では、そもそも志望理由書とはいったい何なのかという点から申し上げましょう。簡単に申し上げれば


①「編入試験に合格した後、一体いかなる勉強を具体的にしたいと考えているのか」

②「なぜ数ある大学の中からある大学を志望校に選択しそこに行こうと考えているのか」


これらを軸にして簡潔的かつ説得力をもって試験官にアピールする書類です。書く内容についてはこれ以外にもあり、志望理由書の型がありますが、いずれにせよこれを出願時に提出するという大学がほとんどです。編入後にどんな勉強をしたいのか、そしてなぜ志望する大学に入りたいのか、この点が魅力的なものとなっていなければ、せっかく筆記試験がある程度できても「この人は本当に勉強したいという熱意があるのかな」・「この大学に見合う研究の着眼点を持っているのかな」、あるいは「この人は本当にこの大学に入りたいのかな」と疑念を抱かせることになってしまいます。さらに、この志望理由書を土台に面接試験が行われることがほとんどですので、面接試験の骨格となるものと考えることもできるでしょう。


2、志望理由書の内容について


では次に志望理由書に書く内容ですが、先述のように①と②が軸となりますが、それ以外にも書かなれければならない事項はいくつかあります。しかしブログの分量の観点からそちらは割愛しますので、気になる方はぜひ当校が開催する志望理由書ガイダンスにお越しいただければ幸です。ここでは、


①「編入試験に合格した後、一体いかなる勉強を具体的にしたいと考えているのか」


この点について少し掘り下げたいと思います。
まず注意する必要があるのは、入学後に勉強したいことを漠然と記すだけでは説得力ある内容にならないという点です。歴史学でいえば、


「明治維新について勉強したい」


では漠然とし過ぎています。「明治維新後を実現した薩摩・長州藩について勉強したい」これでもまだ漠然としていますね。「明治維新・薩摩藩・長州藩」の概要については、その分野の大学の先生であればある程度すでに知っていますから何か具体的かつオリジナリティーのあるテーマでなければ試験官である先生たちにとって魅力的ではないわけです。薩摩藩・長州藩の何を研究したいのか掘り下げる必要があります。


「明治時代は長州藩が牽引したにもかかわらず、なぜ地元の開発はさほど進まなかったのか」。


ここまで来ると具体性がようやく出てきますね。ここまでくれば、その分野の大学の先生でも詳しくない人もいるでしょうから、改めて研究をしたいと志望理由書に書いた場合に「面白そうだね」となるわけです。要するに、「編入試験に合格したのち一体いかなる勉強を具体的にしたいと考えているのか」については、これまで蓄積されてきた研究を踏まえて、自分なりの独創性のある研究内容にする必要があるのです。


3、志望理由書の対策の仕方

最後に、では2のような内容の志望理由書にするにはどういった対策が必要かをお話しましょう。まず自分が大まかにどういった勉強を入学後したいのか自らの関心を探るために、アカデミックな内容のとっつきやすい本を読んでおく必要があります。中ゼミでよくお勧めするのは本屋にいけばすぐ見つかるような新書の類ですね。内容はアカデミックなものを扱いつつ、一般の人にも読めるように書かれていますから、入口としては最適でしょう。自分の関心のありそうな新書を手にして、読み進める中でさらに自分の関心をより具体化していけばよいのです。気になる点、疑問点はないかということを常に頭におきつつ読んでいけば、おのずと具体的な関心が浮かび上がってくるでしょう。それができれば今度は、先述のようにオリジナリティーが必要ですから、自分が関心を持った点についてすでに研究している人は他にいないかな、と「先行研究」と呼ばれるものを探します。そこで、他に研究している人がいなければ、晴れてそれは自分の研究テーマになるわけです。


ここまでくれば、その勉強ができそうな授業や環境が整っている大学に行きたいですよね。ですから、「~の研究をしたい」だから「~~の研究ができそうな授業・環境が整っている~~大学を志望しました」とすれば、1の②で述べた「なぜ数ある大学の中からある大学を志望校に選択しそこに行こうと考えているのか」、という志望大学の志望理由も解決するわけです。


もちろん、このように順調に志望理由書をかけるばかりではありません。研究テーマを見つけるのに苦労する人もいるでしょう。そこで我々の出番です。当校ではそれぞれの研究分野のスタッフである我々が志望理由書のお手伝いもさせて頂きますから、ぜひお気軽にお頼り下さい。いつでもお問い合わせお待ちしております。


長文最後までお付き合いいただき感謝申し上げます。

小論文を書く際の注意点

英文系スタッフのnobiです。今回は小論文を書く際に注意しておくべきことをいくつか書いてみようと思います。特に、小論文に取り組み始めたばかりの人を念頭に置いてお話をします。

◎書き始める前に「アウトライン」を作る
小論文は「序論・本論・結論」の3部で構成します(求められている字数に応じて、本論の段落の数は変わります)。何のプランもなく書き始めて、きちんと構成された小論文を書き上げることはできません。「それぞれの部分で何を書くか」を書き始める前に決めておく、すなわち、きちんと「ゴール」を見据えてから、解答用紙に文章を書き始めていきましょう。

◎小論文の目的は「読み手(=採点者)を説得すること」である
「テーマ型」にせよ「課題文型」にせよ、小論文では「あなたの意見」を書くことが求められます。「あるテーマについて知っていることを、ただただ羅列した文章」は小論文ではありません。

・その小論文での主張を「1つ」にしぼる
・その主張を「序論」で明確に書く

ということをまず意識しましょう。

◎1つの段落に1つのトピック
序論で主張を言い放っただけでは、読み手を説得することはできません。その意見に対して適切な根拠を提示する必要があります。小論文の本論ではこの「根拠(理由や例)」を述べていきます。800字程度の小論文であれば、本論の段落を2つ準備します。
本論の段落を書く際には、各段落の内容的な「まとまり」に注意しましょう。ここでも「知っている内容の単なる羅列」は避けるべきです。「思いついた内容をできるだけたくさん書いておきたい」という気持ちも理解できますが、「段落が内容的なまとまりを欠く」ということは減点の対象となります。アウトライン作成の際に(ある意味、心を鬼にして)内容の取捨選択をしましょう。
その段落を読み終わったときに「見出し」を付けることができるか、ということを目安にするとよいでしょう。

◎結論で余計なことは言わない
結論部分の役割は「本論のまとめ」と「主張を述べ直すこと」です。
「最後をかっこいい台詞で締めたい」「本論で書けなかったことを結論に書いておきたい」というような思いは捨て、「全体の首尾一貫性」を最優先して、結論部分を書き上げましょう。

(苦手な人向けの)編入英語試験の対策・勉強法

こんにちは、しらのです。
人文系の各分野の編入試験について、いろいろなスタッフの方に一通り説明してもらったので、今回は科目に焦点を当てて、表題のとおり「(苦手な人向けの)編入英語試験の対策・勉強法」についてお話ししたいと思います。


1. 単語と文法

まずは、単語と文法の習得です。
もちろん、いずれも知識があればあるだけ、身に付いていればいるだけよいのですが、勉強できる時間には限りがあり、かつ自分のキャパシティを超えた内容を理解するのは難しい、というのを前提に置いて考える必要があります。

たとえば英語が苦手で不定詞の使い方を見分けられないという人が、大学受験用の文法問題集を何周もしようとしたとしても、結果には容易に結びつかないでしょう。そういう人は消化しきれていない勉強をする前に、「それぞれの品詞がどういう役割の言葉か」の理解に努めながら、中学文法をもう一度さらう必要があります。
単語にしろ文法にしろ、自分がどのレベルにいるかを分析して、まずはそのレベルでの知識の定着を目指すことが重要です。とりわけ人文系は他の分野よりも文章の読解が求められる状況が多く、基礎を盤石にすることが最優先です。


2. 辞書の使い方

その上で、品詞と文型(S・V・O・C)を一通り学んだ人に並行して身に付けてもらいたいのは、特に動詞に関してですが、辞書の使い方です。
英文を読むのに慣れていない多くの人にとって辞書を使う状況と言えば、わからない単語が出てきたときに意味を調べる、といったところでしょう。でも、読解や和訳(・英訳)のためには、もう一歩進んだ利用法が必要です。

たとえば”keep”という語について、「持ちつづける」という意味しか知らなかったとしましょう。そんな時に”He keeps awake.”という文に出会うと、「彼は目覚ましを持ちつづける??」なんて訳しかできないかもしれません。
ところが、”keep”という語を辞書で調べてみると、たくさんの意味があり、それも「文のかたちによって意味が変わっている」ことがわかります。たとえば私の手元にあるジーニアス英和大辞典だと、こんな風に説明が出ています。

 [SVO(M)]→持ち続ける、自分のものとする

 ・・・(中略)・・・

 [SVC]→ずっと・・・のままである

  ※一部記号を簡略化してあります。

私たちの知っている「持ちつづける」という訳は、[SVO(M)]というかたちをとったときの訳だと説明されています。Oは「目的語」、Mは「前置詞から始まる句」*ですから、「Sは(Mという状態で)Oを持ちつづける」というかたちの文の時に(例:”The police keep him in prison”=「警察は彼を拘留している」)、”keep”は「持ちつづける」という意味になる、というわけです。
これに対して、”He keeps awake.”の”keep”は「持ちつづける」という意味にはなりません。”awake”は形容詞で、目的語にはなれないからです。”keep”の直後に形容詞が来るこの文のかたちは、下にある[SVC]、つまりは”keep”の直後に補語が来る、「ずっと~のままである」しか当てはまりません。したがって、正しい訳は「彼は起きっぱなしである」となります。

*正確には「修飾語句」ですが、これはこれでややこしい言い回しなので、説明にあたり変更しています。


以上のように、特に動詞に多くある多義的な語は、「前後にどのような品詞/語が並ぶか」によって意味が変わってくるので、その「文/表現のかたちを突き止めるために辞書を使う」ということが不可欠になってきます。これは実は、英語に限らず、どの言語を勉強する際にも当てはまることです。もちろん品詞やS・V・O・Cを理解した上で、しっかり辞書を使えるようになりましょう!