「研究テーマ」を決める その2――どこに注目してノートをとろう?

ご無沙汰しております、しらのです。

文系3年次の編入試験は佳境に入ってまいりました。2年次志望の方は、逆にそろそろギアを上げはじめている時期でしょうか。

今回はそんな中で、再度志望理由書関連になりますが、「テーマ設定の自己検証」を主題としたいと思います。二つ前の記事で「研究テーマ」について第一弾の記事がありましたが(https://www.chuo-seminar.ac.jp/blog/literature/?p=992)、(3) の「ノートを作る」の作業中ではいくどかテーマを設定し直すということもざらにあります。今回は「多神教と寛容の関係」を素材として、「ノートを作る」方針を一緒に考えていきましょう。

 

国際基督教大学の森本あんり先生が、昨年2月に「「日本人は多神教だから寛容」通説は本当なのか」(https://toyokeizai.net/articles/-/409378)というテーマで記事を書かれています(記事内にもあるように、正確には先生の著書『不寛容論』の抜粋記事になります)が、このテーマで論じるには「何を調べればよいか」を考え、そして追体験することが、「ノートを作る」方針を考える上での好材料となるでしょう。この記事をある程度下敷きにして、議論を進めていきます。

 

①「多神教→寛容」など、事実関係を統計資料などから調べる

やや社会科学寄りの分析になりますが、やはりまず気になるのは「「日本人は寛容」という命題自体は事実か」ということです。判定基準がなかなか難しいですが、上記事ですでに触れられている堀江宗正先生の分析のように「世界価値(観)調査」(En: https://www.worldvaluessurvey.org/wvs.jsp)など、研究機関や行政機関の調査・資料で通説の裏づけになるものがないかを探してみる、というのは重要です。私たちの通説や直感が、つねに事実と整合的であるとは限らないからです。

とはいえ、もちろん堀江先生の分析はあくまで「宗教的寛容」について結論を出しているだけなので、これだけで日本人の「寛容」度についてなにか確定的なことがわかるわけではありません。このケースでは「自分が明らかにしたい事実」と「調査・資料から明らかになる事実」の整合性や距離を、しっかり測ることが求められます。

 

②「寛容」など、言葉が実際に意味する内容にこだわり比較してみる

①の最後の話とも関わってきますが、時には言葉の意味を掘り下げることも重要です。

たとえば、「多神教」が示す寛容さと、「日本人は寛容」と言うときの寛容さは、果たして同じものなのか。日本の多神教的かつ異種混淆的な性質を示す事例として有名なのは七福神ですが、恵比寿様以外の六神は海外の神が日本の神様としてカスタマイズされたものです。日本の神様になったと言っても出身国での神格が消えたわけではなく、どちらかというと「カレーライス」や「ラーメン」など、異文化の料理がジャパナイズされる事態と似ています。

しかし「日本人は寛容」と言うときは、森本先生も同様のことを指摘されていますが「異なる文化や出自の人に対して争わないようにする」という風に、たいていは異文化の人が「ジャパナイズ」されることは想定されておらず、むしろ「異なる」こと自体が重視されるでしょう。私たちが「寛容」を説くとき、相手に「カレーライス」のようになってほしいとは思っていないはずです。

こうしてみると、二つの「寛容」がどこまで、どのような点で似ている/違っているのかを検討する作業も、馬鹿にはできません。

 

③「多神教」の根拠となる、原典を参照してみる

もう一つアプローチが考えられます。それは、「多神教」と、通説により暗に批判対象とされている「一神教」という区別が寛容を論じるのに有効なのか、原典を踏まえて考えてみることです。基本的には、「多神教」とは一神教で言うところの唯一神がたくさんいる、という事態を指しているのか、つまりは、一神教の「神」と多神教の「神」が比較可能なものなのか、という疑問が以上の問いの根幹をなしています。森本先生が指摘されるようにそもそも多神教の定義自体が難しいという問題もありますが、ひとまず軽く分析してみましょう。

まず多神教とされる神道において、神典とされる書物の一つである古事記を紐解いてみましょう。上巻の中ほどには、有名な「天岩戸」の物語が記されています。簡単に要約すると、太陽神である天照大御神が、弟である須佐之男命(スサノオノミコト)の度重なる狼藉に恐れをなして天岩戸にこもったことで、天地がともに真っ暗になってしまいます。そこで八百万の神が天岩戸の前に集結し、真っ暗な中でにぎやかな騒ぎを起こして、天照大御神に怪訝に思わせます。そこで外を覗いた大御神を中から連れ出して光を取り戻し、事なきを得る、といった次第です。

騒ぎの中心にいた天宇受賣命(アメノウズメノミコト)は大御神とのやりとりの中で、「あなた様よりも尊き神がいらっしゃったので、にぎやかにしているのです」と(うその理由を)答えています。こうしたことからも、日本の神々の中に役割分担、そして上下関係があることが見て取れます。天照大御神はしばしば「主神」「皇祖神」とも呼ばれますが、八百万の神が集まらねばならなかったくらい格の違う神様が描かれているということは、特筆に値することでしょう。

翻って一神教であるキリスト教の聖書などを開いてみたときには、神は唯一神しか認められないものの、天使や悪魔など神以外の「霊的存在」も多数存在することに注目すべきでしょう。もちろん信仰上では、「崇拝対象になるか」という点で大きな違いはあるかもしれません。しかし、『詩編』などで示唆される各人に寄り添う守護天使の存在などを考えてみるに、その存在が多神教の神々と比較可能ではないか、という問いは無視できないものです。主神をいただく神道と、唯一神以外の霊的存在も認めるキリスト教との間に、私たちがふだん想定しているほどの違いがあるのかは、再考の余地があるように思えます。

このように「神やそれに類した存在」についてイメージだけで語ることのないよう、原典に当たって「どのように描かれているか」を確かめることも、有効な手段なのです。

 

以上、「統計資料の確認」「言葉の意味内容に関する具体例の検討と比較」「原典の参照」、この三つが「テーマの再検証」にあたって重要であることを示してきました。今回は「多神教だから寛容」という通説を素材としましたが、もちろんみなさんが何気なく建てるテーマに関しても同じことが言えるわけです。

上記の行程を行ないながらノートをとっていけば、みなさんのテーマがより地に足のついたものとなり、志望理由も充実したものとなるはずです。「自分の関心について掘り下げ、調べてみること」が、面接官にとっても説得力のある志望理由を提示するカギの一つと言えます。

 

余談ですが、私は多様性について考えるとき、最近「ハコの中の多様性」というイメージをしばしば思い浮かべます。私たちが多様性について何がしかを問題にするときには、本当は多様性そのものではなく、多様性を受け入れている/いない、その社会的土台について問うている、ということです。

とはいえ、その「ハコ」がなければ多様性というものは実現しません。キャパシティの問題だったり社会通念の問題だったりで、受け入れには自ずと制限がかけられます。だからこそ、寛容にしろ多様性にしろとりあげられるときには、その「ハコ」のあり方が問われているのだと、そういう意識が必要でしょう。

そうした考えからすると、「多神教」という粗雑な枠組みに日本の「寛容」の姿勢を押し込めてしまうことには、あまり益がないと結論づけられます。

志望校の選び方――2023年度 明治大学文学部 2年次編入の募集学科に事寄せて

人文系歴史系スタッフのsusacです。今回は明治大学を題材に志望校の考え方についてお話したいと思います。 

 

つい先日令和5年度(2023年度)の明治大学の募集要項が明治大学のHPにアップされ衝撃を受けた方も多いのではないかと思います。というのも、例年募集してきた文学部史学地理学科の日本史学専攻が今年度は、学生を募集しないことが判明したからです。明治の日本史学専攻を狙って勉強してきた方もいらっしゃると思いますので、当校にも激震が走りました。 

 

Q:それでは、日本史関連の勉強をするために明治に編入学を行うという選択肢は完全に潰えてしまったのでしょうか? 

 

 

A:結論を申し上げればNOです。 

日本史学専攻が募集を今年(今年のみと祈りたい)止めたからといって、明治に編入して日本史関連の勉強をするという選択肢が消え去ったわけではありません。 

 

 

なぜなら、明治大学には幅広い勉強を行うことのできる文学部文芸メディア専攻なる専攻が存在するからです。 

 

一見しただけではイマイチピンと来ないこの学部ですが、この学部に在籍している先生を見てみると、日本近世の小説史の研究をしている先生や、文化史・メディアの社会史の研究をしている先生がいるではありませんか。 

 

筆者は近代史が専門なので、適切な例かはわかりませんが日本近世の小説というと、『里見八犬伝』などでしょうか。文化史・メディア史の研究をしている先生は、1930年代なども研究しているようなので、昭和期のメディア(ラジオ、新聞、映画)と当時の政治なども研究できそうですね。 

ここではあくまで明治の例を挙げましたが、実は文学部の史学科以外にも案外歴史の研究ができる学部学科は存在します。実は法学部などにも歴史の先生は結構な割合で在籍していて、 

 

「政治史」 

 

という分野を扱っていることが多いです。歴史はときの政治家や為政者の動きと切り離して考えられませんよね。だから、政治学の理論を使って当時の歴史を説明することも可能というわけです。その他、経済学部にも経済史の先生がいますし、社会学部にも歴史社会学、社会史の先生がいることは珍しくありません。 ですから、大学の選択肢を考える際に必ずしも文学部の史学科でないと歴史が勉強できないというわけではないのです。

 

もちろん法学部に行くには法学の勉強、経済学部に行くには経済学の勉強をする必要があるので、文学部とはなかなか併願しにくいのが現状です。ですから当校でも文学部と法学部の併願などはお勧めしていません。 

さらにいえば、文芸メディア専攻には文学作品、メディア(ここでは映画なども含む)から見て取れる内容の分析を中心に研究している先生も多いですし、文学史、メディア史の先生の研究もいわゆる通史を扱うような史学科の歴史とは毛色が違うので、ミスマッチがないかは慎重に検討する必要があるでしょう。メディア史の先生であれば研究に必要な社会学に関する知識を求めてくる可能性もあります。メディア史に限らず政治史であれば政治学的な知識を、経済史であれば経済学に関する知識を持っているか否かも問われる可能性があります。

 

しかし、以上のミスマッチについて慎重に検討したうえで、科目的にも併願もうまくできそうなところを見つけられれば、挑戦してみるのもアリかもしれません。 

 

今年はすでに編入学試験も山場に差し掛かっていますが、もし来年以降編入による受験を検討されている方がいらっしゃれば、ぜひ参考にしてみてください。 

 

この考え方は大学院を考えている方にもあてはまります。 

 

 

もしどんなところが受けられるのか分からなければお気軽にご連絡ください。 

 

 

長文お読みいただきありがとうございました。

「研究テーマ」を決める

英文系スタッフのnobiです。
7月に入り、そろそろ志望理由書を書き始める時期になってきました。今回は志望理由書の「研究テーマ」を決める際のTipsについて書いてみようと思います。

※志望理由書の書き方については、歴史系指導スタッフsusac氏の投稿も参照してください。
https://www.chuo-seminar.ac.jp/blog/literature/?p=965

(1) 在籍している先生の研究分野を確認する
研究テーマを選ぶ際には、必ず「そのテーマを指導できる先生が、受験先の学部学科にいるか」を確認しましょう。どれだけ立派な志望理由書ができあがっても、そのテーマを指導できる先生がいなければ、書類あるいは面接ではねられてしまう可能性があります。志望理由書の作成には多大な労力をかけることになるので、まずはこの点を確認してから作成作業を始めましょう。
また、「研究テーマがなかなか決まらない」という人も、この点について情報収集してみることをおすすめします。受験先大学の先生方の研究分野をHPなどで閲覧するなかで、興味が持てるテーマに出会える可能性があります。

(2) これまでに受けた授業について思い出してみる
この作業をすることで、志望理由書の第一段落に書けるネタが見つかる可能性があります。もし研究テーマにつながる授業をすでに受講していたら、「1~2年次に受けた授業の中で興味のあるテーマに出会った。しかし、在籍大学ではそのテーマを専門的には学べない」というような方向で話を組み立てていくことができます。
また、そのような授業の資料には、具体的な事例が載っていたり、参考文献が紹介されていることもあるでしょう。それはそのまま、志望理由書のネタになることもありますし、面接対策のネタになる可能性もあります。

(3) ノートを作る
研究テーマがある程度決まったら、志望理由書(および面接対策)用にノートを作りましょう。志望理由書を書くためには本や論文を読んでいくことになります。その中で興味を持った点などを志望理由書の準備段階からメモを取るようにしておくとよいでしょう。
メモを取る際には「志望理由書に書くかどうか」の取捨選択作業をする必要はありません(これは志望理由書を実際に書き上げていくときにする作業です)。また、志望理由書には入らなかったメモ内容も、面接での応答に厚みや深みを与えることになるので、決して無駄にはなりません。

2023年度 名古屋大学 編入学受験情報

こんにちは。人文系スタッフのヴァネッサです。

今日の東京はとても蒸し暑いです…

 

さて、今日は名古屋大学の受験情報をお伝えしようと思います。

 

出願期間:2022年8月1日(月)~5日(金)午後4時まで

※ちなみに8月5日の午後4時までの必着(消印有効ではありません)なので、注意してください!

試験日:第1次選抜(筆記)2022年8月31日(水)

         ↓(1次に合格したら…)

    第2次選抜(口述試験)2022年9月28日(水)

合格発表:2022年10月7日(金)

 

ちなみに文学部・人文学科では例年通りほとんどのコースで募集を行っています。

筆記試験の内容も外国語+小論文で変更がないようです

名古屋大学は編入を実施している他の国立大学と比べて出願が早めなので、受験を考えている方は早めに動き出しましょう!

 

#中央ゼミナール

#名古屋大学

#名古屋大学編入

 

 

6月11日(土)に大学フェアが行われます

こんにちは、人文系指導スタッフのおかわりです。

今日は今週末(6月11日の土曜日)に行われる中央ゼミナールのイベント、大学フェアについて宣伝させていただきます。

コロナ禍の影響で3年ぶりの開催になりますが、大学フェアは中央ゼミナールが例年行っているイベントの中でも最も規模が大きいものの一つです。今年は上智大学、お茶の水女子大学、法政大学から大学関係者の方が中央ゼミナールにいらっしゃり、講演会が行われます。また大学関係者の方々に直接相談する機会も設けられています。タイムテーブルについては以下をご覧になってください。

https://www.chuo-seminar.ac.jp/event/fair/time/index.html

講演会や大学別の相談会に加えて、中央ゼミナールによる編入セミナー、志望理由書セミナーも行われます。さらにTOEICや英語の体験授業もあります。これらの講演会、セミナーを通じて、編入試験についての様々な情報を得ることができるでしょう。また進路学習相談コーナーでは、指導スタッフによる個別の相談も受けることができます。

大学フェアは参加無料です。予約なしで直接会場に来ていただいて大丈夫ですが、以下のサイトで事前に予約をしていただけると来場がスムーズになります(入り口で名前や連絡先を書いていただく手間が省けます)

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeD8e8bg4ani-ZqOXWE3czigkPTdaA8rlIWg7c9mrGkAzyCqw/viewform

それではみなさん、6月11日(土)はぜひ大学フェアにいらしてください!

 

編入学試験募集要項の主な注目点②

 こんにちは、しらのです。

 前回に引き続き、募集要項の主な注目点について見ていこうと思います。

 

③出願手続・書類

 ・・・まず確認したいのは「出願期間」です。多くの編入試験実施校では志望理由書が求められますが、それをいつまでに準備しなければならないかということを確認しなければなりません。

 また、外部語学試験のスコアの提出が求められる場合は、「いつまでスコアを上げることが可能なのか」も逆算しておくとよいでしょう。参考までに、多くの大学では「2年以内」のスコアであることが要求されます。

 加えて、在籍(した)大学で用意すべき書類にどんなものがあるかも、確認しておきましょう。主なものとしては、成績証明書、在学/卒業(見込)証明書がそれにあたります。大学によってそういった書類が用意できる期間には違いがありますし、特に海外関連の高等教育機関出身だと書類準備にかなりの期間かかるケースもあるので、注意が必要です。

 さらに、主に海外関連の高等教育機関出身の場合に、出願前に「出願資格の審査」が必要になることがあります。なお、例年出願資格にかかわらず資格審査を行なう大学としては、日本大学文理学部3年次のみ要)、大阪大学外国語学部があります。

 最後に、割と重要なのは提出期限の「書き方」です。「消印有効」なのか「必着」なのかで、実際に書類準備・作成の可能な期間が変わってきます。もちろん余裕をもって提出することが一番なのは言うまでもありませんが、志望理由書等書類のクオリティアップのリミットを正確に把握しておくことは、重要なことです。

 

④試験内容

 ・・・特に筆記試験が課される場合には、「試験時間」が重要になってきます。メインの志望校に関しては、できれば早めに直近の過去問題を入手しつつ、どれだけの実力が要求されているのかを、試験時間も考え合わせて計算しておくことが望まれます。問題自体の難易度が変わることはあっても、作業量全体が変わることはまずないので、大きな目安になります。

 

(※2022/5/27 一部内容を別記事に移しました。)

 

――今回のご案内は以上になります。他にも「振替可能科目」「教職科目について」など考えだしたら悩みは尽きないと思いますが、こうした事柄などは大学・学部単位で対応が変わってくるため、要項だけではわからない情報が欲しい場合は、大学に直接問い合わせることをお勧めします。

 そろそろ早い大学は募集要項を公開し始める時期なので、編入学試験を受けるつもりの方は、要項をしっかり読み込んで準備にあたりましょう。

編入学試験募集要項の主な注目点①

 こんにちは、しらのです。

 編入対策の概要について一通り紹介してもらったので、今回は編入学試験の募集要項の主要なチェックポイントについて、整理してみたいと思います。

 

①募集人員

 ・・・「何人とってくれるか」に注目が行きがちで、それももちろん大事な情報ではあるのですが、一番重要なのは「どの学部・学科、年次で募集がかけられているか」ということです。募集学部・学科が頻繁に変わりがちな大学としては、法政、日本女子、同志社といったところが挙げられます。自分の目指す学部・学科に募集があるのかを、まず確認しましょう。

 

②出願資格

 ・・・四大在学中で編入を希望する場合には、当然編入時の単位取得(見込)数が重要な要件となります。2年次編入で30単位前後、3年次編入で62単位が一般的ですが、例外もあり、上智大学(3年次)は例年出願時に60単位を要求しています。なお、わずかながら例年取得単位要件に「外国語科目単位数」が含まれている大学もあります(例:明治大学文学部、旧大阪市立大学文学部、獨協大学)。

 それ以外の要件として、「短大卒」「高専卒」「外国教育機関で以上のような学校教育14年の課程修了相当」「外国大学等の日本校で学校教育14年の課程修了相当」「専門学校卒」「高校等専攻科修了」(いずれも「見込」可の場合が多い)などがありえますが、どの要件で受け入れるかは大学や学部によって大きく異なってきます。また、社会人が受験する場合には、英語試験を免除するなど、別の種類の編入学試験を用意しているところもあります。

 大学・学部の提示する以上のような要件のいずれかを満たしていれば、基本的には出身の学校どころか学部・学科にかかわらず、編入学試験を受験することが可能です。ただ、最近は外部語学試験のスコアを求めるところも多くなっているため、志望先に要求される具体的な点数があるなら、出願期間と併せて確認し、スコア獲得の戦略を練っておきましょう。

 

 次回は出願手続や試験内容について迫っていきます。(※2022/5/27 一部内容を追記しました。)

志望理由書の書き方について

歴史系指導スタッフのsusacです。今回は編入学試験に特有の志望理由書についての注意事項について書き連ねてみたいと思います。当校で開催している説明会などではよくお話するのですが、編入学試験においては筆記試験が重要なのはもちろんなのですけれども、それに劣らない重要性を持つのが今回お話する志望理由書という書類になります。大学によっては一次試験の合否をこの志望理由書(名称は大学によって異なる)で判断し、不合格の場合には筆記試験に進ませないという大学もあります。また大学によりますが、多いところでは2000字近く書かせるところもあります。


1、志望理由書とは

では、そもそも志望理由書とはいったい何なのかという点から申し上げましょう。簡単に申し上げれば


①「編入試験に合格した後、一体いかなる勉強を具体的にしたいと考えているのか」

②「なぜ数ある大学の中からある大学を志望校に選択しそこに行こうと考えているのか」


これらを軸にして簡潔的かつ説得力をもって試験官にアピールする書類です。書く内容についてはこれ以外にもあり、志望理由書の型がありますが、いずれにせよこれを出願時に提出するという大学がほとんどです。編入後にどんな勉強をしたいのか、そしてなぜ志望する大学に入りたいのか、この点が魅力的なものとなっていなければ、せっかく筆記試験がある程度できても「この人は本当に勉強したいという熱意があるのかな」・「この大学に見合う研究の着眼点を持っているのかな」、あるいは「この人は本当にこの大学に入りたいのかな」と疑念を抱かせることになってしまいます。さらに、この志望理由書を土台に面接試験が行われることがほとんどですので、面接試験の骨格となるものと考えることもできるでしょう。


2、志望理由書の内容について


では次に志望理由書に書く内容ですが、先述のように①と②が軸となりますが、それ以外にも書かなれければならない事項はいくつかあります。しかしブログの分量の観点からそちらは割愛しますので、気になる方はぜひ当校が開催する志望理由書ガイダンスにお越しいただければ幸です。ここでは、


①「編入試験に合格した後、一体いかなる勉強を具体的にしたいと考えているのか」


この点について少し掘り下げたいと思います。
まず注意する必要があるのは、入学後に勉強したいことを漠然と記すだけでは説得力ある内容にならないという点です。歴史学でいえば、


「明治維新について勉強したい」


では漠然とし過ぎています。「明治維新後を実現した薩摩・長州藩について勉強したい」これでもまだ漠然としていますね。「明治維新・薩摩藩・長州藩」の概要については、その分野の大学の先生であればある程度すでに知っていますから何か具体的かつオリジナリティーのあるテーマでなければ試験官である先生たちにとって魅力的ではないわけです。薩摩藩・長州藩の何を研究したいのか掘り下げる必要があります。


「明治時代は長州藩が牽引したにもかかわらず、なぜ地元の開発はさほど進まなかったのか」。


ここまで来ると具体性がようやく出てきますね。ここまでくれば、その分野の大学の先生でも詳しくない人もいるでしょうから、改めて研究をしたいと志望理由書に書いた場合に「面白そうだね」となるわけです。要するに、「編入試験に合格したのち一体いかなる勉強を具体的にしたいと考えているのか」については、これまで蓄積されてきた研究を踏まえて、自分なりの独創性のある研究内容にする必要があるのです。


3、志望理由書の対策の仕方

最後に、では2のような内容の志望理由書にするにはどういった対策が必要かをお話しましょう。まず自分が大まかにどういった勉強を入学後したいのか自らの関心を探るために、アカデミックな内容のとっつきやすい本を読んでおく必要があります。中ゼミでよくお勧めするのは本屋にいけばすぐ見つかるような新書の類ですね。内容はアカデミックなものを扱いつつ、一般の人にも読めるように書かれていますから、入口としては最適でしょう。自分の関心のありそうな新書を手にして、読み進める中でさらに自分の関心をより具体化していけばよいのです。気になる点、疑問点はないかということを常に頭におきつつ読んでいけば、おのずと具体的な関心が浮かび上がってくるでしょう。それができれば今度は、先述のようにオリジナリティーが必要ですから、自分が関心を持った点についてすでに研究している人は他にいないかな、と「先行研究」と呼ばれるものを探します。そこで、他に研究している人がいなければ、晴れてそれは自分の研究テーマになるわけです。


ここまでくれば、その勉強ができそうな授業や環境が整っている大学に行きたいですよね。ですから、「~の研究をしたい」だから「~~の研究ができそうな授業・環境が整っている~~大学を志望しました」とすれば、1の②で述べた「なぜ数ある大学の中からある大学を志望校に選択しそこに行こうと考えているのか」、という志望大学の志望理由も解決するわけです。


もちろん、このように順調に志望理由書をかけるばかりではありません。研究テーマを見つけるのに苦労する人もいるでしょう。そこで我々の出番です。当校ではそれぞれの研究分野のスタッフである我々が志望理由書のお手伝いもさせて頂きますから、ぜひお気軽にお頼り下さい。いつでもお問い合わせお待ちしております。


長文最後までお付き合いいただき感謝申し上げます。

小論文を書く際の注意点

英文系スタッフのnobiです。今回は小論文を書く際に注意しておくべきことをいくつか書いてみようと思います。特に、小論文に取り組み始めたばかりの人を念頭に置いてお話をします。

◎書き始める前に「アウトライン」を作る
小論文は「序論・本論・結論」の3部で構成します(求められている字数に応じて、本論の段落の数は変わります)。何のプランもなく書き始めて、きちんと構成された小論文を書き上げることはできません。「それぞれの部分で何を書くか」を書き始める前に決めておく、すなわち、きちんと「ゴール」を見据えてから、解答用紙に文章を書き始めていきましょう。

◎小論文の目的は「読み手(=採点者)を説得すること」である
「テーマ型」にせよ「課題文型」にせよ、小論文では「あなたの意見」を書くことが求められます。「あるテーマについて知っていることを、ただただ羅列した文章」は小論文ではありません。

・その小論文での主張を「1つ」にしぼる
・その主張を「序論」で明確に書く

ということをまず意識しましょう。

◎1つの段落に1つのトピック
序論で主張を言い放っただけでは、読み手を説得することはできません。その意見に対して適切な根拠を提示する必要があります。小論文の本論ではこの「根拠(理由や例)」を述べていきます。800字程度の小論文であれば、本論の段落を2つ準備します。
本論の段落を書く際には、各段落の内容的な「まとまり」に注意しましょう。ここでも「知っている内容の単なる羅列」は避けるべきです。「思いついた内容をできるだけたくさん書いておきたい」という気持ちも理解できますが、「段落が内容的なまとまりを欠く」ということは減点の対象となります。アウトライン作成の際に(ある意味、心を鬼にして)内容の取捨選択をしましょう。
その段落を読み終わったときに「見出し」を付けることができるか、ということを目安にするとよいでしょう。

◎結論で余計なことは言わない
結論部分の役割は「本論のまとめ」と「主張を述べ直すこと」です。
「最後をかっこいい台詞で締めたい」「本論で書けなかったことを結論に書いておきたい」というような思いは捨て、「全体の首尾一貫性」を最優先して、結論部分を書き上げましょう。

(苦手な人向けの)編入英語試験の対策・勉強法

こんにちは、しらのです。
人文系の各分野の編入試験について、いろいろなスタッフの方に一通り説明してもらったので、今回は科目に焦点を当てて、表題のとおり「(苦手な人向けの)編入英語試験の対策・勉強法」についてお話ししたいと思います。


1. 単語と文法

まずは、単語と文法の習得です。
もちろん、いずれも知識があればあるだけ、身に付いていればいるだけよいのですが、勉強できる時間には限りがあり、かつ自分のキャパシティを超えた内容を理解するのは難しい、というのを前提に置いて考える必要があります。

たとえば英語が苦手で不定詞の使い方を見分けられないという人が、大学受験用の文法問題集を何周もしようとしたとしても、結果には容易に結びつかないでしょう。そういう人は消化しきれていない勉強をする前に、「それぞれの品詞がどういう役割の言葉か」の理解に努めながら、中学文法をもう一度さらう必要があります。
単語にしろ文法にしろ、自分がどのレベルにいるかを分析して、まずはそのレベルでの知識の定着を目指すことが重要です。とりわけ人文系は他の分野よりも文章の読解が求められる状況が多く、基礎を盤石にすることが最優先です。


2. 辞書の使い方

その上で、品詞と文型(S・V・O・C)を一通り学んだ人に並行して身に付けてもらいたいのは、特に動詞に関してですが、辞書の使い方です。
英文を読むのに慣れていない多くの人にとって辞書を使う状況と言えば、わからない単語が出てきたときに意味を調べる、といったところでしょう。でも、読解や和訳(・英訳)のためには、もう一歩進んだ利用法が必要です。

たとえば”keep”という語について、「持ちつづける」という意味しか知らなかったとしましょう。そんな時に”He keeps awake.”という文に出会うと、「彼は目覚ましを持ちつづける??」なんて訳しかできないかもしれません。
ところが、”keep”という語を辞書で調べてみると、たくさんの意味があり、それも「文のかたちによって意味が変わっている」ことがわかります。たとえば私の手元にあるジーニアス英和大辞典だと、こんな風に説明が出ています。

 [SVO(M)]→持ち続ける、自分のものとする

 ・・・(中略)・・・

 [SVC]→ずっと・・・のままである

  ※一部記号を簡略化してあります。

私たちの知っている「持ちつづける」という訳は、[SVO(M)]というかたちをとったときの訳だと説明されています。Oは「目的語」、Mは「前置詞から始まる句」*ですから、「Sは(Mという状態で)Oを持ちつづける」というかたちの文の時に(例:”The police keep him in prison”=「警察は彼を拘留している」)、”keep”は「持ちつづける」という意味になる、というわけです。
これに対して、”He keeps awake.”の”keep”は「持ちつづける」という意味にはなりません。”awake”は形容詞で、目的語にはなれないからです。”keep”の直後に形容詞が来るこの文のかたちは、下にある[SVC]、つまりは”keep”の直後に補語が来る、「ずっと~のままである」しか当てはまりません。したがって、正しい訳は「彼は起きっぱなしである」となります。

*正確には「修飾語句」ですが、これはこれでややこしい言い回しなので、説明にあたり変更しています。


以上のように、特に動詞に多くある多義的な語は、「前後にどのような品詞/語が並ぶか」によって意味が変わってくるので、その「文/表現のかたちを突き止めるために辞書を使う」ということが不可欠になってきます。これは実は、英語に限らず、どの言語を勉強する際にも当てはまることです。もちろん品詞やS・V・O・Cを理解した上で、しっかり辞書を使えるようになりましょう!