独学でも合格できる!?

このブログをご覧の方には、独学で編入対策をしていらっしゃる人もいるかと思います。独学で対策するか、当校のような予備校を利用するのか、オンラインサービスを利用するか、それぞれ一長一短ありますし、ご自身の学習環境や事情によって変わってくるでしょう。編入情報の収集の一環であっても、このブログに立ち寄って役立ててもらえるのならうれしい限りです。

独学での編入対策を選択した場合、最も弱点になるのは、アウトプットの機会が少ないということです。今日は、大きなお世話かもしれませんが、独学でいかに成功するか、勝手なアドバイスを書きたいと思います。

編入に必要とされる知識をインプットすること自体は、ひとりでひたすら進める作業といえるでしょう。もちろん、予備校などの力を借りれば、必要とされる知識の範囲と程度を伝えてくれるし、難しい内容は嚙み砕いて教えてもらえます。しかし、理解して記憶するのは、自分であることに変わりはありません

しかし、アウトプットは違います。法政治系の編入試験では、論述試験が課される場合が圧倒的に多いことから、英語ならば、和訳、内容把握や要約などで、論文ならば、知識の説明や自説の展開などで、アウトプットの練習が必要となります。マークシート方式のような形式で学力が測定されるのではなく、「論述」によって学力が評価されるのです。

そのためには、答案作成練習がどうしても必要になります。これは、ただ答案を作成するだけでは不十分で、それを「他人の目」で評価してもらうことが不可欠です。文章表現の適不適、理解の正確性や自説の妥当性などについて、自分で自分を評価することは大変難しい。だからこそ、そこにはどうしても「他人の目」が必要になります。しかも、文章表現にとどまらず、内容に関することは、それについて知識のある人でないと評価できません。

では、独学でそれをどうするか?

残念ながら、アウトプットの練習に関しては「他人の目」を調達するしかありません(独学の範囲から外れてしまいますが)。身近に法学、政治学の知識のある人がいるのなら、その人に書いたものを評価してもらいましょう。オンラインサービスなどで解答例が手に入るのなら、解答例の分析を通して、自分とは異なる観点から、自分の答案を見つめ直すことができます。法学書院の「演習ノート」シリーズも有用でしょう(入手困難ですが)。

さらに、スポットで予備校の利用を考えてみてはどうでしょうか時期を絞ったり、科目を絞ったりして、スポットで「他人の目」を調達することができます。自分の答案を実際に添削・評価してもらうことで、自分の「課題」が見えてくるはずです。継続的に添削・評価してもらうことが望ましいのは確かですが、「他人の目」とはどういうものか知るだけでも、以降の勉強に役立つはずです

「他人の目(評価される機会)」をいかに調達するかが、独学で成功するポイントとなるでしょう。


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」

編入試験 英語対策③

前回は英語試験対策として、基本的な文法や単語の習得の重要性を書きました。今回は英語試験対策における専門性について書いてみたいと思います。

法政治系の編入試験で課される英語試験では、以前に書いたように長文和訳やその読解問題が多くの大学で出題されます。そして、その文章は新聞や雑誌、専門書からのものが多用されます。法政治系の編入試験なので、引用される文章は法学や政治学に関連した内容が多いと言えます。もちろん、社会科学全般に関するもの、全く分野違いの内容で純粋に英語力を測定するものなどもあります。

しかし、総じて難関校になればなるほど専門性もあがります。ただし、誤解してはいけないのが、専門性がある英文が必ずしも単語や文法が難解であるわけではないということです。つまり、基本的な文法や単語で専門的な内容が語られている場合が多いということです。この点でも、英語の基本が重要であることが分かります。

では、専門性のある英語長文はどのように対策すればよいでしょうか?まずは、繰り返しになりますが、英語の実力をあげていくことが必要です。これまでに使ってきた単語帳や文法書、問題集などを漏れなくマスターしている程度まで反復し、何周も行うことです。これは、予備校やオンライン指導を受けることなく、今からでも独習できることです。逆に言えば、この独習なしに英語力は向上しません。予備校やオンライン指導の受講で自然と向上するものではありません。日頃からの地道な復習が英語力の向上には必要です。この点で、「雑な勉強」しかできない人は受験向きではありません。

さらに、編入試験では専門性のある英語を訳し読解する必要があります。そのためには、専門用語(technical term)の知識や内容の背景的知識がある方が圧倒的に優利です。例えば”checks and balance”、”tyranny of the majority”、”the rule of law”などの専門用語には定訳があります。「抑制と均衡」、「多数の専制」、「法の支配」です。どれも法学や政治学では、一定の意味を持った術語として用いられています。したがって、術語として訳せるだけではなく、それがどのような文脈で用いられるものか、その語が含意している内容(背景的知識)を理解していることも必要です。権力分立の下、三権が相互に牽制しつつも権力的な均衡を保つことで、国家の暴走を抑止するという目的を指して「抑制と均衡」という言葉は使用されます。多数決原理の弊害を指す「多数の専制」は、民主主義と少数者保護との関係で使用されるし、「法の支配」と法治主義の相違点の理解は、違憲審査制の意義に大きく関係しています。

これらは、法学や政治学に関連する語彙を記憶するとともに、その概念や背景を理解することで身につけることができます。そのためには、法学や政治学に関連する単語を覚えること(編入向けの市販されている教材を探すのは難しいですが)、日本語で法学や政治学の重要概念を理解し、日常的に新聞などで社会の仕組みや実情を理解しておくとよいでしょう。日本語で理解できないものが、英語で理解できるようになるわけではありませんから。

このように、基本となる英語力の上に専門知識が加わることで、専門性のある英語長文に対応できるようになります。編入試験対策として予備校を利用するメリットのひとつが、これらのことをまとめて行えるということでしょう。


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」