心理系講師・スタッフ座談会

※2012年3月18日の講師会議で開かれた心理系講師・スタッフ座談会の内容です。

参加講師・スタッフ一覧

司会役

最近の入試問題の傾向(臨床心理学)

まずは最近の入試傾向について、聞いていきたいと思うのですけど、臨床心理学に関する入試問題の傾向について聞いてもいいですか?

臨床の専門は昔よりも基礎な問題が中心になってきています。国公立を中心にそういう傾向は顕著になってきていると思います。基礎的な事柄に関して、例えば「なんとか療法について説明しなさい」みたいな形で出るんです。ただし、その分,ちゃんと書けないとダメです。皆「あぁ知ってる知ってる」という感じなんですが、これが説明しにくいんですよ。大きすぎて。説明するとなると手広くちゃんと知っていて、それをしっかりと構成して書けないと説明にならないことが多いですね。

ということは基礎的なレベルの用語をしっかりおさえておくことが重要ということでしょうか。

そうですね。まあ、用語というか基礎的な事柄全般といった方がいいかもしれませんね。

それに対して、私立はどのような感じの出題なんでしょうか。

私立の方が論じる分量が少ないような感じがありますね。一問一答というわけではないんですけど、用語や理論について、簡潔に説明するという感じですかね。あとは非常に焦点化された論述が出題されることがあるので、ある程度答えが決まっている、それを知っていればできるというような形ですね。あとはまぁ語句説明ですね。

それじゃ私立は幅広く出題されるということでしょうか。大学によって変わってくる?

そういうところもありますが、私大は大学によって出題の仕方も違います。領域もかなり違います。いろいろあるので、やっぱり問題傾向を見るのは凄い大事ですね。特定の領域に特化しているところがありますからね、私立は。

最近の入試問題の傾向(基礎心理学)

次は基礎心理について聞いてもいいですか?

正直、一言で傾向が答えられるものではなく、大学院によって幅広いところでは、認知も社会も教育も発達も出しているところもあれば、教育と発達だけしか出さない大学院もあって、その傾向はここ数年の過去問を見ても変わっていません。なので、過去問を見ないと自分が志望する大学院の問題傾向はわからないですね。あと、今年度の授業で感じたのは、例えば発達とかは比較的良く書けても認知になると全然書けないとか、心理学も分野が広いので、分野ごとの差が結構大きいなという印象がありましたね。

範囲が広いだけに丸暗記はなかなか難しいので、体系的にきっちり理解する必要があると思うんですよね。ただ、全然知らない人が教科書や辞書を読んで、体系的に理解できるかというとなかなか難しいと思うので、基礎心理に関してはひとまず授業に参加して欲しいと思います。

最近の入試問題の傾向(心理統計学)

ありがとうございます。続いて統計についておねがいします。

中ゼミで分類している、中堅校と難関校の出題形式自体はそんなに変わっていないのではないかと思います。中堅なら語句説明や穴埋め問題中心で、難関は研究計画まで考えなくてはいけなかったりだとか。ただ、出題範囲に関しては、実際の研究に沿った問題が出てくるようになってきたかなぁと感じています。たとえば,因子分析って本当によく使う分析じゃないですか。中堅校でも、因子分析が語句説明の形式で最近出題されていますし、臨床の知識と合わせて研究計画を考えないといけないとか、実際にどんな場合に使われる分析なのか具体例を答えさせたり、あと尺度の作り方とか、大学院で実際に研究している時に使うような知識が出題されているなぁと思うので、そういう意味でも、受験で統計の勉強しておくと、そのまま大学院行った時に役立つようになってきたのではないかなと思っています。

それは思いますね。今やっていることが全部実際に使っていくことだっていうのは事実だなぁと非常に思います。私は結構ここで統計を教えて長いのですが、昔よりも全然統計を出題する大学の数が増えてきたなぁと思っています。難易度には凄く差があるので、なるべく志望校の目安をたてたうえで過去問を見てもらって、どれだけ自分が統計の勉強に時間を割いたら良いのか知って欲しいと思います。

それと、スタッフの先生に研究計画書の相談をする際に、全くその後の分析のことを考えていないがために、絶対に実行不可能な研究計画をやりたいって言ってくる方が結構多いと思うんですよ。これどうやって分析するの?とか,どうやって測定するの?という研究計画を提出されるなんてことが結構あるんじゃないかなと思うんですけど、研究計画を立てる際と、研究計画を面接で説明する際には、ある程度統計の知識が必要になってくると思うので、それを念頭に置いて必要なところだけは学んでくれた方が良いなぁと思います。せめて、尺度、t検定、分散分析ぐらいは、何となくわからないと大学院入ってからも厳しいだろうし、研究計画を説明するのも難しいと思います。あと、他の方が書いた論文が読めないってことがあるんですよね。全部事例で、統計使わずに研究するというなら、それはそれでもいいんですけど、他の方の使っている統計がわからないですよね。先行研究が読めないということになるので、やはりそこは必要かなと。

臨床の研究って事例研究であっても、中ゼミの統計で扱うような変数の統制の考え方とか、そういった研究法のこととかって凄く重要なんですよね。それに、論文読んできてって指示しても、読めないとかってこともありますし。

研究計画書の指導するときにも、独立変数とか従属変数とか言葉がわからないとか、全く方法が心理学の方法になっていないとか、自分の感覚で計画を立てている人もいるので、基礎心理とか統計とかを通して、心理学って何なのかな?って学んで欲しいと思いますね。

結構,入学相談とかで、臨床心理士の資格が欲しいけど研究はしたくないんだという方がいらっしゃいますが、それはそもそも臨床心理士として理想とされているモデルがわかっていないし、臨床心理士は研究義務があるということがわかっていないので、そういう意味で統計や基礎心理が必要なんだよっていうことをアピールできれば、統計や基礎心理も必要なんだってわかってもらえるかなぁと最近思っています。

重要なのは勉強の計画性ですね。去年何人かの学生さんと話した時に、あまり過去問をやっていないというか、最初手を出す時に足ぶみというか、見て難しかったらどうしようという恐怖心があって、ちょっと見たくないなぁという気持ちがあったみたいなんですよ。でも、むしろ早い時期に、4月とか5月とか、できなくて当然だっていう気持ちで、見るなり解くなりしてみて、自分の勉強を方向付けたり、時間の使い方を考えた方がいいと思うんですけどね。

志望校選択とかに話がちょっと移っちゃうんですけど、「最初の段階でとりあえず過去問を見て入れそうなところを受けました」とかで失敗しましたという方が、入学相談段階で多いんですけど。でも、解けない段階での判断は往々にして間違っていると思うんですよね。過去問をチェックする際に重要なのは、出題範囲と必要な能力の確認ですね。何も見ずに800字論述できますか?って尋ねると大体首を振るので、それぐらいの能力が必要なんだっていう確認ぐらいはしておいて欲しいですね。あとは、夏になったら一回ぐらいはちゃんと時間をとって過去問を解いて欲しいですね。

最近の入試問題の傾向(心理学英語)

ありがとうございます。ちょっと専門の話が長くなってしまいましたが、英語の方はどうでしょうか?

英語の出題傾向は、ガラッと変わるところも年に何校かはありますけど、出題数とか分量とかは各大学の過去問に沿った形であまり変わらないなと。例えば、立教とかだとそんなに長くない英文2問、明治学院だと異常に多い分量がひょいっと出されてしまうし、白百合とかだと結果部分も含めた論文から出題されるとか。そういった質とかはあまり変わらないので、やっぱり基礎とか臨床とかの問題傾向を過去問で見ると同時に、英語の出題傾向も過去問でチェックしておくと対策も立てやすくなるのかなと思います。その時に、英作文が出るのか出ないのか、文法問題が出るのか出ないのか、あとは出典を載せてくれているとこだと、どんな分野の論文から拾われているのかをチェックしておくといいかもしれません。臨床的な分野から出てきそうなのかとか、もっと幅広い分野から出てくるのかとか。

去年、「僕は,心理系の添削英語、千頭和先生の英語、心理系の大学院英語、の3つとっているんですけど、僕は英語ができないので一つしか出たくありません。どれをとれば合格できますか」っていう質問を3回ぐらい受けたんですけど、結局全部出なさいって言いましたね。どれか一つ出て合格できるとは保証してあげられないし、英語はやっぱ時間削っちゃだめだと思うんですよね。なので、何がなんでも授業に出て、沢山英文に触れるしかないですよとしか言いようがないなと。

結局、大学受験レベルができていれば、あとは英文読めば読むほど伸びてくると思うんですけど、「ターゲット1200」の単語よりも心理単語を先に勉強したりだとか、形容詞と副詞の違いを知らないのにそのままにしていて・・・みたいな方は、結局どこかでつまずいちゃいますね・・・。

まず、大学によって色々と本当に差が大きいなと。ただし、英語では滅茶苦茶難しいなという問題は大学院入試では出ないという気が僕はしていますね。だから、あまり英語では取りこぼせないんじゃないかなと思いますね。

ただ、内容については圧倒的に難易度が高い大学院が一方ではやっぱりあって、京都大学とかは、日本語で出題されてもよくわからないなって(笑)

哲学じゃんっていうのはありますね。

あー。学習院とかにもたまにでますよね。

あるね。多分、日本語で読まされてもよくわからないという・・・。それで,最近の学生の傾向っていうところにもつながっちゃいますけど、弱いと思うのはやっぱり、日本語力。英語でも、統計でもそうですけど、自分で読んで分かんないものは人が読んでもわからないよって、心から思います。

統計の解答でもありますけど、主語ないっていうのが・・・。

主語ないのは凄く困る。あと、接続詞もおかしくないですか?「ところで」などと突然話を変えていたり、「しかし」と言いながら全然逆説になってない、みたいな。

ありますね・・・。

二段落以上の構成っていうのは、やはり訓練しないと身につかないのかもしれませんね。

やはり先生方からの添削を受けるなどして自分の文章をチェックすることが重要みたいですね。

学習スケジュールや授業の履修に関して

次は学習スケジュールや中ゼミの授業の履修についてお伺いします。

英語については、最初は単語、文法の勉強からですよね。ターゲットレベル、高校英語レベルができていないっていうのはどうしようもないので。そういう方は、中ゼミで基礎徹底からしっかりやってもらって、あとは大学院英語、添削英語の再提出を地道にだしてもらう。夏までにやれば、大体なんとかなっているので。逆に、英語が苦手な人は夏までが勝負というか。夏までに基礎をしっかりやってもらう。まあ、正直、中央ゼミナールの授業で使われる教科書とか、単語帳以外に広く手を出さなくても十分かなと。復習を中心にやってもらえればいいと思います。

構文を把握できない、副詞句のかかり方もよく分からないという方もいらっしゃるので、構文把握を徹底的にやらなければならない方もいらっしゃると思いますが、ある程度のレベルまできたら英語は一行でもいいから毎日読んでもらいたいって思いますね。伊藤先生が大学院心理学英語入門で使っていらっしゃる教科書をちょっと拝見させていただいたんですけれど、やさしめの入門書なんですけれども。ああいうのを、毎日コツコツ読んでいただければ、それが本当は一番いいのかなと。

さっきの、どの授業にでたらいいかっていう話に関しては、自分もそうですけどスタッフが無駄な授業を勧めることはないので、一人で判断しないで欲しいですね。必要だからこそ薦めているのであって。だから、勝手にどれに出たら合格するかとか、そういうことを考えることは、合格から遠のくことになるんじゃないかと思います。薦められたからには、絶対に出るというのが原則だと思うんですよね。それでも夏までに伸びなかったら、再相談っていうのが基本ですよね。学期の途中に、勝手に自分で判断して、出なくなるっていう考え方は、むしろ合格から遠のいちゃうよっていうのは毎年毎年思います。

さっき、臨床とか英語だけじゃなくて統計も大事だっていう話が出ていたんですけど、それでも最初は統計にあまり時間を割けないかもしれません。ただ,受験生の皆さんに知って欲しいのは、中ゼミの教科書って範囲に関しては本当に良くまとめられているってことです。あの教科書に載ってない分析も結構あるんですけど、それは入試には出ないっていう。だから、統計の勉強に時間をかけられないのであれば、授業の復習だけで良いので、それだけはちゃんとやってくださいと言いたいですね。

自分で統計の本を買って読むとしても、希望する大学の授業で使っている教科書だけでいいと思います。例えば東京女子だったら、『よくわかる』を使っていますけど、それを読めばいいのかなって。その他に参考書を増やす必要は全くないですね。

他の専門科目で何かありますかね?

勉強法というわけではないんですが、削るな、あきらめるなと言っても基礎心理は多分削られるので。それならせめて、授業に出席してくれと思いますね。多分、自分で勉強するのは大変だろうし、臨床を目指している人が、例えば認知心理学の本を読んでも、申し訳ないけど殆ど分からないと思うんですよね。だからまず、とっかかりとして、授業にでて、少しでも興味を持ってくれたなら勉強してくれればいいし、もう少し知りたいと思ったらその専門分野で「いい本はないですか」とか、「勉強法ないですか」とか聞いてくれればこっちも答えられるし、いいと思う。基礎心理は、少なくとも授業に出てくれれば・・・というのが僕の感想ですかね。

授業に集中してちゃんと勉強してくれれば、後に自分で自習するよりもずっと効率いいと思いますしね。

基本的に、色んな分野ごとに発想が違うというか、言語が違うのに内容は近いようなものなので。だから、特に初学者を対象としている基礎心理学講座では、授業の中でこれはこういう発想なんだよっていう話もしています。それが分からないと、自分で教科書読んで学ぶっていう次の段階のことが出来ないんじゃないかと思うんですよね。

ありがとうございます。他に、臨床の専門の勉強で何かありますか?

そうですね。やはり、他の先生もおっしゃっていたように、授業にきちんと出ていただくことですよね。結局、臨床の授業が難しいということで、出てこなくなる子もいるので。あとは、授業の予習と復習ですね。そのうえで、足を伸ばしていくと。基本的なところを重視して授業をしているので、そこをまずは押さえて、その上で過去問をやっていくと。

研究計画書や志望校選択などのアドバイス

はい。じゃあ、最後に研究計画書とか、面接とか、筆記試験以外の所で注意して欲しいとか、こういうところ気をつけたらいいんじゃないかという点があればご意見頂きたいんですけれども。

まあ、とにかく、せっかく相談できるんだから、早めに相談に来て欲しいということがありますよね。テーマを決めたらとか、ここまで出来たら、とか自分で決めて相談できずにずるずると時間が経過していくともったいないので。まっさらな状態でもいいから一度来てもらって、方向性が一度決まれば進んでいくものだし。まあ、これまでの人生で書いたことがないものですし、そのお手伝いとして、この環境を存分に使ってくださいと。

自分で書いてみて、自分自身でわかるくらい論理が破綻していても、直してあげられるので相談して欲しいですね。相談しながら方向性を一緒に決めることもしてあげられるので。

あと、臨床心理の院を目指している方と関わっていて思うのは、結構、臨床の方って、自分がそうだったから助けたいとかっていう方が多いんですけど。そういったことを面接とかの志望動機で使おうとしていらっしゃるので・・・。それは一応置いといて、そこを越えた理由を見つけておいて欲しいなと思います。

テーマに関しては、院を出た後に、自分がどういう分野で専門として研究していきたいのか、臨床心理士だったら、どういう領域で、どの年代でって。そういう自分の将来に関わるテーマを選ばないとエネルギーが湧いてこないし。自分が将来こうなりたいっていう目的意識があって院を選ばないと、何でここを選んだのって志望理由を聞かれたときに整合性がとれないというか。出た後どういう仕事をしていくかということをしっかり考えて、論文のテーマを選んでいくということが大切かなと思います。

そういう意味では、僕は研究計画書はしっかり取り組んでいただきたいと思っています。自分で自分の研究の問題点が言えるっていうところまでしっかりと突き詰めてほしいと思っているんですけれども。

今年の学生さんの報告を聞いていて面白かったのは、ものすごい時間かけてしっかり取り組んだ子に限って、研究計画書に関して面接であまり聞かれなかったと。結果的に余計な粗がなかったのかなと。

さっき、話を聞いていて思ったのは、まあ、一通りまんべんなく学ぶのも大事だと思うんですけど、自分がどういう方向性にいきたいのかということが分からない子も多いので、そういう子達はどうやって志望校を決めていくか悩んでいることが多い。

私は年代から聞くことが多いですね。大人?子ども?とか。それ位から。

要するに、目的意識を持って大学院選んだ方がいいっていうことですよね。

そうじゃないと、入学した後が辛いと思います。

僕がよく学生に言っているのは、志望校決めるのは研究計画書できてからでいいからって。研究計画書を指導する時に、僕はいつも四つくらい聞いていて、予防か治療かと、大人か子どもかと、学派はどれかと、症状はどれと。その中で二つ位決めてと。そうすれば絞れるからと。それが決まれば、いくらでも自分で調べられると思います。

そういう意味で初めから志望校を絞りきらないことは大事かもしれないですね

臨床心理士になることを含めて、これから受験される方にメッセージありますか?

しっかり勉強して、身についていれば臨床心理士の資格試験はそんなに難しいものではないので、資格だけに目を向けすぎないで、中身をしっかりつけましょう、そういう勉強をしましょう、と言いたいですね。

はい。あと他に何かありますかね?

あ、社会人の方でたまにある、二年計画ですっていうのは止めた方がいいと思います。そんなに人の集中力は持たないよって。せいぜい一年でしょう、って思うので。二年計画で、浪人とかを最初から考えるのは止めた方がいい。4月に入ったら、九月に受かる位の気でやらないと結局は二年後もだめだと思います。受験に関しては瞬発力もすごく大事だと思うので。普通の人が普通に受験を考える位のスパンでやったほうがいいと思います。

結局、二年計画とかを考えている人の一年間の勉強量は、一年間で受験終わらせようとしている人の勉強量よりも少なかったりしますからね・・・。

やっぱり、無駄をやらないためにこういった予備校があるので。

今年社会人で、ある国家資格を持っている方が、アディショナルのような形で臨床心理士の資格を取ろうとしているみたいな方も多くて。近年は、他の領域の延長じゃないだろうっていう姿勢を大学院側がとってきていると思うので、やはり、一から臨床心理学を勉強するんだっていう気持ちでやって欲しいし、志望動機も考えて欲しいなと思いました。

はい。今回はここまでということで良いでしょうか。今日はありがとうございました。閲覧いただいたみなさまもおつかれさまでした。