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講義担当者の紹介

中央ゼミナール講師
伊藤 順康先生
東京生まれ。東京大学大学院博士課程修了。
専攻は人間形成論。聖心女子大学、千葉大学、一橋大学、東京大学等の講師を歴任。現、東京理科大学教授。
主な著訳書に、『自己変革の心理学』(講談社現代新書)、『青年期の自己形成』(川島書店)、『自分が変わる本』(同文書院)、 『論理療法』(共訳、川島書店)、『カウンセリング事典』(共著、八千代出版)、『現代人は愛しうるか』(KKベストセラーズ)など、他多数。
はじめに
―― 伊藤先生は、主にどのような研究をされていらっしゃるのですか。

私は興味が人間の研究というところにありまして、どういう研究をしようかと悩んでいるところ、もう一つテーマに出会いました。それは、「人間の幸福と不幸」ということでした。
幸福な方は、いいのですが、本人に責任のない不幸というのが、訪れる方がいます。こういう方々をなくしていくのが、人類の文明の進歩だと思っています。本人の責任のない心の病を治していく、あるいはサポートしていくという点と人間の研究をしたいというところとが重なり、心理学に近づいていきました。
またその頃、私はマルクス・アウレリウスに傾倒していました。人間の不幸は考え方によっては、バネにして幸福にすることができる。受け取り方が、非常に重要である。人間は受け取り方の世界に生きていて、受け取り方を改善していくことによって、より良い人生や、生活に向かっていけるのでないか。そういうところから、 エリスA.やハーパーR.A. の論理療法という心理学の理論に惹かれ、論理療法を日本に紹介したり、それに基くカウンセリングをして、今日に至っています。
―― 大学や、当校のような予備校で教えてくださっていますが、教育に携わることになったきっかけはどのようなことでしょうか。

カウンセラーのような先生がいれば、学生にとっていいのではないかと思い、教育現場を足場にして、論理療法を普及していければと考えたことです。
―― 中央ゼミナール臨床心理士指定大学院講師といえば「伊藤先生」と名が挙がるほど人気があり、当校の講師を長年務めていただいています。先生にとって、当校で指導することにはどんな意義がありますか。

日本では、カウンセリングという理論がアメリカに比べ遅れていますが、少しずつ確立されています。そして、現在では日本全体でカウンセリングの必要性が理解されています。
中央ゼミナールにお出でになる学生さんも、カウンセリングの必要性、そして自分もそういうことに関わりたいという熱意、そういったものが充満している雰囲気があります。学生さん達にとっても未知の領域を学ぶわけですから、教える方にとっても非常に張り合いのあることですし、一生懸命努力されるフレッシュな感覚に大変感銘を受けました。
これまでたくさんの大学でも教えてきた経験から申しますと、中ゼミ生は、はっきりとした目的意識をもって、自分の利益のためではなく、悩んでいる人をヘルプしようという人間的動機をお持ちの方が多いと感じています。受験を頑張ろうとする姿勢、生き方、そういうものには非常に共感を覚え、私としても「頑張れよ」と言いたくなります。そういう意識で、毎年毎年、お付合いをさせていただいています。

臨床心理士を目指される方の現状について
―― 最近の学生の傾向について、どのように思われますか。

一時、日本でもカウンセラーが必要とされるだろうという、漠然とした雰囲気で志望者が増えた時期がございましたが、その後、就職状況が厳しいという情報が流れ、ブームに乗った人の足を止めるものになったと思っています。逆にいえば、これからは、本気で勉強をしたいという方に絞られてきたのではないでしょうか。今までよりも熱意があって、浮ついたところのない落ち着いた足取りで勉強される学生さんが多いのではないかと思っています。
―― 就職状況については、先生はどのようにお考えでしょうか。

私は、世間で噂されているより、カウンセラーの未来は明るいと考えています。文科省が、資格のあるカウンセラーを設置することからも、これからの社会において需要はありますから、就職状況は快方に向かうと考えています。
―― 受験生に年齢は、関係ありますか。

研究という意味では年齢による特段の制限はありません。例えば、幼年期から青年期に対して、大学生であれば年齢的に近いという視点で見ることができるし、お子さんがいらっしゃる方はまた別の角度から見られるでしょう。
あるいは臨床活動の対象が老年期がであれば、誰もが未知の世界ですね。しかし、青年期以後の人にとっても老年期というのは他人事ではありません。臨床心理士にヘルプできる点はたくさんあります。例えば老年期の人が青年期の人から若い元気をもらうというケースもあります。
年配の方は大学院に入るまでにかなりご苦労されると思いますが、努力は必ず結果に返ってくるはずです。中ゼミにいらっしゃる年配の生徒さんは目的意識の強い方が多く、しっかりと合格を果たしている方ばかりです。
私は、長年指導してきた経験から、受験生に年齢は関係ないとはっきり申し上げたいと思います。

勉強方法について
―― 勉強の心構えをお聞きしてもいいですか。

私は、その人の実力というのは、三角形で表せると思っています。
三角形の真ん中に線を引いてください。三角形と台形に分かれますが、台形が「やる気」「意力」「根気」「持続力」で、上の三角形が「学力」です。台形がしっかりしている方ほど、実力がつき、合格につながる、そう考えています。

下の台形が、しっかりしていないのに、しっかりとした三角形が立つはずがありません。たいてい、途中で断念している方は、台形がきのこのように、細くなっている方だと思っています。
学力がつかないのは、頭が悪いのではなく、台形である「やる気」「意力」「根気」、そして特に「持続力」が不安定だからです。しっかりした台形を作るためには、つまらなくても、結果が現れなくても、ひたすら行う、根気が必要です。なかなか難しいことだと思いますが、人間は、強い目的意識に支えられると、持続力が続くのではないかと思います。ですので、合格には全体の三角形が綺麗にできているかが重要になります。
―― 特に社会人の方は、英語で苦労されているようなのですが、どのように進めていけばよいのでしょうか。

英語は、勘所というものがあります。それを押さえていなければ、ならないというところがあります。文法書を1冊マスターしようとするのではなく、ポイントを押さえて勉強するのです。
そのポイントは、@品詞概念 A五文型 B句と節 C接続詞 です。

この4つを繰り返し行い、この4つの練習問題を解いてください。参考書を見ないで、中学生や高校生に講義ができれば、マスターしたといえるでしょう。
社会人の方は、勉強する順序というのが重要です。これがマスターできれば、英語が見えるようになり、長文問題が恐くなくなります。ただし、根気が必要です。やはり、楽にはマスターできませんね。
―― 勉強を始める時期は、いつ頃がいいのでしょうか。

先ほどの4つのポイントをマスターするには、最低3ヶ月かかります。たとえば、自転車は乗れることに意味があるのではなく、自転車に乗ってどこかに到達することに意味があります。英語も同様に、理解しただけではなく、実践できるようになることが重要です。
ですから、社会人の方は、できれば1年半前、最低、1年前には始めてください。中ゼミでいえば、次年度受験者コースから始めていただければと思います。
―― 他学部からの受験の方は、どのように勉強したらいいのですか。

まず、心理学概論の本を勉強してください。心理学概論をマスターすれば、学部で勉強されていた方にほぼ追いつくことができ、心理学の基礎が身につきます。なので、他学部出身者というのは、ちゃんとした手順を踏んだ勉強さえすれば、大丈夫です。
英語については、先ほど挙げた@〜Cまでをまずマスターし、それから心理学系の英文を読んでください。また、心理学用語を学ぶということも必要です。
―― 独学で、受験に臨むことは可能ですか。

よほど優れていなければ、難しいと思います。アドバイザーのような相談できる方がいれば、可能だと思いますが、すべて独学で臨むのは非常に危ういと思います。

志望校の選び方、研究計画書について
―― 臨床心理士指定校大学院がたくさんありますが、どのように志望校を決めていったらよいのかを教えてください。

私の意見としては、あまりブランドにこだわらないということが重要だと思っています。
学生さんにお勧めしているのは、志望校選びをするにあたって、研究をする年齢対象から絞っていくということです。
自分は幼児の臨床を行いたいのか、青年期を扱いたいのか、職場における問題なのか、老年期の生きがいの問題なのか、老年期特有の病気についてなのか。大学院の2年という期間では、乳幼児から老人まで全てを学ぶことにはおのずと限界がありますから、自分の研究したい年齢対象の領域や悩みの種類にこだわると、志望校が絞られてくると思いますよ。
―― 研究計画書について教えてください。

他学部の場合、研究計画書が書きづらいかもしれません。
心理学部出身の場合、卒論につなげて書くことができますが、他学部では、それができません。他学部出身の場合は、他学部で研究してきた過程でのきっかけを述べて、そのきっかけが、こういう研究につながると思ったのでという流れで書くといいでしょう。

授業内容、学生へのアドバイス
―― 伊藤先生には、今年も「大学院英語<心理>」「大学院心理学原書講読」を担当していただきます。授業について教えてください。

1コマ1コマ、全員の人が理解できるように授業をおこなっています。授業の概要をマスターしていただければ、大学院受験対策としては十分です。もちろん、まだ学力がついていない方への配慮も行っています。結局、英語は先ほどの@〜Cにつきます。英語ができる方も@〜Cが身についている人は少ないのです。私も、授業を聞いただけでわかった気持ちにならず、再提出をしなさいと、いつも言っています。
―― 伊藤先生から見て、中央ゼミナールは。

大変ユニークな予備校だと思います。こちらは、たくさん生徒さんがいらっしゃいますが、「一人ひとりに親切」という文字通り、可能な限り個別の対応をしているということです。また、特筆すべきはカリキュラムの多様性です。たとえば、初歩からの英語総合演習という授業では、英語からしばらく離れていた方ための授業を行っています。私は他の予備校でも教えておりましたが、ここまで一人ひとりのニーズに応えており、講師一人ひとりも情熱をもった予備校はないと思います。
また、臨床心理士指定大学院入試については、長年の指導のノウハウと緻密な分析データが中ゼミにはありますから、情報量の多さが強みだと思います。
―― 伊藤先生は、著訳書もたくさん出版されていますね。

そうですね。執筆活動を続けてきたのは、なるべくたくさんの人に知ってもらいたいというのが一つです。カウンセリングでは、一対一なので人数に限りがありますが、本であれば、たくさんの人に知ってもらえる。他人の人生に関わりながら、少しでも、自分の持てる力を持って援助したいと思っています。







―― 最後に、臨床心理士を目指していらっしゃる方へ、アドバイスをお願いします。

私なんかに臨床心理士が務まるだろうかと相談に来た人が、卒業後バリバリと活躍していらっしゃる。つまり、そのようにおっしゃる方は、臨床心理士の仕事の大変さをわかっているということなのです。
臨床心理士は、なってからの勉強の積み重ねが必要ですから、人間関係に関する能力が高くて、人の話をよく聞き、謙虚な気持ちをもっている、そんな方が臨床心理士に向いていると思います。
また、自分が研究した理論を万能だと思わないことです。いろんな引き出しを持っていること、柔軟な考えをもっていることが必要です。やはり、臨床心理士は、人間性のよさ、謙虚な心を持っている人ではないと、できない仕事だと思います。この気持ちを持って、臨床心理士を目指していただきたいと思います。






