看護3年次編入・2015年度総括

今年度の合格状況と看護3年次編入の動向について

2015年度4月入学に向けた、看護3年次編入試験も終わりを迎えました。2015年度試験の状況について、中央ゼミナールステップアップサポート部全体の責任者であり、看護編入コースの担任でもある宍戸部長に伺いました。インタビュアーは、ステップアップサポート部事務職員です。

宍戸部長

宍戸部長プロフィール

20年以上にわたって、編入学予備校中央ゼミナールで大学編入・転部試験、社会人入試などの指導にたずさわっている。

主な著書に『ナ-スのための大学・大学院の歩き方』『看護+医療~社会人・学生のキャリアを活かせる進学』(オクムラ書店刊)など。

各種ガイダンスや全国の短期大学で講演を行うなど、啓蒙活動も行っている。

受験がほぼ終了したとのことですが、中ゼミ生はいかがでしたか。

おかげさまで、試験直前まで通学して、面接対策までサポートさせていただいた方の多くが、合格しました。合格報告のための来校者も一段落して、今はホッとしているところです。

具体的な合格状況を教えてください。

もともとのコースの人数が少なく、今年は3年次編入志望の校内生は14名のみでしたが、年度途中でさまざまな事情から今年の受験を諦める方も数名いらっしゃる中、筑波大学に7名、千葉大学に4名、大阪大学、滋賀県立大学、青森県立保健大学に各1名が合格しています。複数校に受かっている方も3名ほどいますが、それにしても想像以上の結果でした。中ゼミ生の皆さんが学校での実習などもある中、最後まで頑張ったことが大きな理由です。編入試験は、受験生のがんばり次第で、本当によい結果が得られるとあらためて実感しました。

筑波大学と千葉大学に合格が多く出ているのは、何か理由がありますか。

中央ゼミナールが東京にあることから、通学圏内の国立大学として両大学に人気があり、いずれかを第一志望にする中ゼミ生がほとんどです。また、千葉大学は保健師課程を全員履修できますし、筑波大学も大学説明会での話では、編入生は保健師課程を履修できる人が多いとのことです。保健師資格取得を目的としている人にとっては、そこも魅力ですね。

中でも筑波大学は他の大学よりも試験日時が早く7月実施のため、中ゼミ生にとって最初の目標となる大学です。筑波までに英語、専門、小論文のいずれも、最低限、必要な勉強を終わらせること、志望理由書、面接対策を済ませることが、最終的な合格につながるという方針で指導しています。合格した人の中には、筑波は自分にはハードルが高いと受験を躊躇していたのに結果的に合格して、自分でビックリする人もいます。逆に結果が出なかった場合は、自身のそれまでの学習のあり方について見直すきっかけになります。たとえば、知らない英単語が多くて、英文が読めなかったとか。

千葉大学はいかがですか。

千葉は看護ではステータスですから、今年も倍率は千葉のほうが高かったようです。そのため、以前は筑波に受かっても千葉まで頑張る方が多かったのですが、特に今年は合格した方のほとんどが筑波で受験を終わりにしました。ですから、千葉を受験した中ゼミ生は少ないです。ただ、私からみると、筑波に合格した人と結果の出なかった方の学力差は、中ゼミ生に関しては本当にわずかで、誰が受かってもおかしくない状況だったと思います。

中ゼミで千葉大学ではなく筑波大学に進学する人が増えたのはどうしてでしょうか。

筑波の魅力はキャンパスが全学群一緒で、他学類の専門科目を履修しやすいことです。特に精神看護学や地域に関心がある人には、心理学や福祉、障害などについても学べますので、人気があります。実際、進学した中ゼミ生には履修している科目の半分が他学類の授業だという人が複数います。若い学生はサークル活動も楽しんでいますね。他学群の学生との交流も盛んです。それにつくばエクスプレスのおかげで東京からも近くなりましたし。

千葉大学はどうでしょうか。

千葉はキャンパスが分かれているので、筑波ほどの履修の自由度はありません。でも、授業の満足度は高いです。看護師の中には千葉大学で授業に出て「目からウロコ」だったという人もいます。

千葉で今年驚いたのは、看護学生を多く合格させたことです。千葉は試験の内容や編入後の編入生向け授業の内容からも、看護師経験者を合格させる傾向があると判断していました。実際、中ゼミでも今までに学生で千葉に受かった人は過去に2人しかいません。千葉の定員10名のうちに学生はいても1人くらいという認識でいましたし、私も千葉は学生を取る気がないと判断していて、そもそも学生には受験を勧めていませんでした。実際に面接で学生とわかると、「いったん臨床に出てからでも良いのではないか」と言われたこともありましたし。

今年、千葉大学で学生を合格させているのには何か理由があると思いますか。

これはあくまで推測ですが、受験している社会人、つまり看護師の学力が年々低下しているのではないかと考えています。これは千葉には限りません。看護編入の全体的な傾向だと思います。ですから、中ゼミでしっかり勉強している人には、社会人、学生にかかわらず合格しやすい状況になっていると判断しています。その一つの根拠として、来年、つまり2016年度編入試験から千葉大学がTOEICのスコア提出を義務づけるようになりました。編入生の英語力の低下が問題視されている可能性があります。

また、中ゼミ生の話では、今年の受験者は若い人が多かったようにみえたとのことです。専門学校生の受験が増えているのかもしれません。

看護編入全体の傾向というのはどういうことでしょうか。

もう何年も前から京都大学の看護は編入試験の合格者が0です。北海道大学も合格を出していません。定員があるにもかかわらず、その数だけ合格を出さない大学が増えています。編入生への期待度が下がったためか、大学側の編入への取り組みが後退していると言えます。

そもそも大学が編入で目的とするところは、大学によって2つに分かれます。まず、公立大学などを中心に、保健師養成を編入目的としていた大学です。このような大学については、法律が変わって大学の保健師養成課程履修が必修ではなくなり、選択制になったり、専攻科になったために、編入試験での学生募集を停止するところが出ています。また、国立大学では保健師課程や助産師課程を大学院に置くところが増えており、編入は実施しているけれども資格は何も取れない…という大学も増えてきました。そのような大学では受験生が減ってしまいました。編入を実施する意義がなくなり、募集を停止する大学も出てくると思われます。

もう一つは、専門学校・短大での学習では身につかないと、大学の先生方が考えている部分の教育を目標にする大学です。具体的には、一般教養や英語、それに看護学の理論、最新の研究状況、さらに研究能力の修得ですね。広い視野や問題解決能力、論理的な思考力を身につける看護師の養成ということです。こちらは、まだ、編入試験の実施を続けてくれると思いますが、先ほども申し上げたように、千葉大のようにTOEICのスコア提出を必須とするなど、受験資格を厳しくする大学もあります。受験者が大幅に減少すると思われますので、最終的には募集停止になることを心配しています。

もちろん、今まで述べてきたことは、あくまで大学の試験要項や今まで大学から頂いた情報などから、私が感じていることですので、その点はご了承ください。ただ、これからも保健師課程を履修できなくなる大学は増えると思いますし、特に看護師さんについては、事情が許すなら、少しでも早く編入に取り組んで頂きたいと思います。