まるわかり!社会人入試:第1回「社会人入試の最近の動向」

はじめに

本企画では、社会人関連入試の現状について、中央ゼミナール宍戸部長に伺ってまいります。社会人が進学するにあたって、気になる情報が盛りだくさんです。

プロフィール

宍戸ふじ江:学校法人中央ゼミナール部長

20数年にわたって、社会人や大学生の進学指導を実践する社会人入試の第一人者。

中央ゼミナールでは、主に大学1年からの社会人入試、大学3年次への社会人編入、看護編入などを担当。主な著書に「だれも教えてくれなかった大学編入」(東京図書)。

第1回:社会人入試の最近の動向

Qまず、社会人入試の動向について、お願いします。

A一口に社会人入試といっても、受験者も試験制度も多種多様です。たとえば中央ゼミナールでは、若い方では20歳くらいから、上は60代、70代の方まで、進学をめざしてがんばっています。会社員や公務員、学校の教員や看護師の方、農業に従事していた方、自営業で小売店を経営している方、それに主婦の方やフリーター、派遣社員の方と、本当にさまざまです。目的もそれぞれ異なりますし、受験する入学年次も大学1年から、大学3年次、大学院と人によって違います。

Q"社会人入試"で一括りにするには難しいですね。

A中ゼミでは以前は社会人入試コースの説明会を行っていました。大学院をご希望の方は大学院コースの説明会で、編入をご希望の方は大学編入コース説明会で対応していますので、社会人入試コース説明会では大学1年入学を志望する社会人の方を想定していたのですが、実際は大学院希望の方がみえたり、3年次に編入したいという方がみえたりで…。
入学する年次や大学か大学院かで受験生に求められるものは違いますから、一緒に説明することは難しいですね。ですから最近では、社会人で1年から入学する方は、個別相談で対応させていただいています。

Qこれは最近の動向なのでしょうか。

A中央ゼミナールは、平成7年におそらく全国でも初めて社会人入試コースを設置しました。その時は、社会人入試というと大学1年生から入学する試験を差していました。また、当時は早稲田やいわゆるマーチレベルの大学に夜間部があり、受験者の多くが二部への進学を志望していました。しかし、その後、次々と夜間部が廃止され、働きながら大学に通学することが難しくなりました。夜間部は授業料も昼間部の半額で、学費を自分で負担する社会人にとっては大きなメリットでしたが、昼間の大学では学費の負担も大きい上に、仕事を続けることはできません。受験できる人も限られてきました。
一方で、大学院教育では研究者養成と並んで、専門職養成・実務家養成が大きな目的になったり、生涯学習が盛んになる中で、大学院が社会人入試を積極的に行うようになりました。社会人を対象とした夜間大学院を設置する大学も増えました。また、少子化が進み、大学院側が社会人を、ターゲットとするようになりました。その流れの中で大学院の受験資格が緩和されて、短大・高専・専門学校それに高校卒業者でも、受け入れてくれる大学院が出てきました。

Q高校卒業で大学院へ進学ができるということですか。

Aそうです。原則として23歳以上で社会人経験のある方で、大学側が大学卒業と同等の学力があると判断した場合、高卒の方でも大学院を受験できます。受験に際しては、出願期間よりも前に個別の事前資格審査があります。ただ、すべての大学院が行っているわけではありませんので、情報収集は欠かせません。中ゼミでは高卒の方の大学院受験状況についてノウハウがありますので、気軽にご相談いただければと思います。

Qそれでは、たとえば短期大学や専門学校を卒業した人は、大学1年入学、大学3年次編入、大学院と、選択肢があるということですか。

Aそういうことになります。

Qこういう場合、どのようにして進路を選ぶのでしょうか。

A中ゼミで多くの方の相談を受けていますが、まずは、ご希望や目的をじっくり伺います。その上で、おひとりお一人に適した進路をご案内します。

Qたとえば、どんなケースがありますか。

Aそうですね。社会人経験が長くて学びたいこともビジネスに関連した専門的なことであるときは、高校卒業の方にも大学院という選択肢について説明します。もちろん、大学1年から入学できる大学についてもご案内します。
時間をかけて、さまざまな学問分野に触れたい、第二外国語も勉強したい、という方には、大学卒業であっても、3年次編入や大学1年からの入学をお勧めすることもあります。
また、短期大学卒業で、もっと上の資格がほしいと希望されている方には、大学への編入と大学院への進学の両方を説明します。
看護師などの職業に就くことを希望されている場合は、大学卒業の方には学士編入という道もあることをお伝えしつつ、大学あるいは専門学校・短期大学1年からの入学についてお話しします。大学と専門学校の違いなどについても説明しています。
このように、どのような進路が可能か、どういう試験制度があるのか、情報を私から提供します。漠然とした知識でご相談に来る方も多いですし、逆に高校卒業の方は内心大学院と思っていても、なかなか言い出せないようですが、私からお話しすることで安心してご相談いただけるようです。

Q学生さんの意識や希望にも変化はありますか。

A大学1年からの進学を志望する方が減って、大学院志望の方が増えているように思います。高校卒業で20代、30代の方が、この不景気の中で4年間大学に通学するのは経済的に厳しいのかもしれません。夜間部のある大学もわずかになってしまいましたし、昨今の勤務状況では、午後5時過ぎに退社することも難しいのではないでしょうか。
かつては、働きながら夜間部に行きたいという若い社会人の方が多く来校されましたが、今は、大学1年からの入学については、大学進学するだけの経済的基盤がある主婦の方が目立ちます。

Qどういう進学が好ましいとか、何かご意見はありますか。

A進学の目的は人それぞれですし、それでよいと思っていますから、特にこういうかたちが望ましいということはありません。極端に言えば、純粋に学歴が欲しいという理由であっても、それがその方の人生にとって必要なことでしたら、私は大いに社会人入試の制度を利用してほしいと思っています。日本が学歴社会であることは事実ですから。
ただ、今の時代、社会人出身の方にとって大学の4年間はちょっと長いかなとは感じています。在学中に経済状況が悪化することもありますし、介護の問題が起きることもあります。転勤、自身の病気、家族の問題など、いろいろなケースが考えられます。それに、大学1年からの入学の場合、社会人は自分だけということもあります。若い学生もさまざまですが、中には授業中にお喋りをする人もいて、社会人にとって残念なこともあります。
大学院の修士課程は2年間ですし、卒業までに修得する単位も大学が4年で124単位以上とされていることに比べて、大学院は2年間で31単位以上です。それに、大学院で社会人を多く受け入れているところは、平日の夜間と土曜日でカリキュラムを組んでいます。2年間の学費で3年在学できる長期履修制度のある大学院も増えています。自分が関心を持っていることにピンポイントで取り組めるところも魅力です。それに、さまざまな背景を持つ社会人学生同士の交流で得られるものも多いでしょう。
そういう現実的なところが大学院の魅力ですね。大学院修了者はまだまだ少ないので、社会的ステータスもありますし、法政大学大学院や立教大学大学院に高校卒業の社会人を受け入れてくれる研究科があります。また、大学編入でも学士編入であれば東大・早慶上智・マーチへの入学も、大学の一般入試より合格の可能性がずっと高いです。
一方、大学の魅力はさまざまな学習や活動ができるところです。経済面、家庭の理解などがあり、時間を取られるような問題がなくて、好奇心が旺盛であれば、ぜひ、大学1年からの進学をお勧めしたいところです。

Qまずは、中央ゼミナールで相談をということですね。

Aそうですね。合格した方にいつ進学を決意したのかと聞いたところ、中ゼミで私と話をした時…と言われて、ビックリすると同時に責任の重さも感じました。大学がどういうところかイメージできない方、自分がやりたいことを実現するためにはどうすればよいのか知りたい方も含めて、気軽に来ていただければ。よい話だけではなく、厳しいところも含めて率直に、私が持っている知識を提供したいと思います。

中央ゼミナールは学校法人ですから、社会貢献をしたいという意識があります。「ここに来れば絶対に合格する」とは言いません。受験が難しい場合はきちんと申し上げますので、その点はあらかじめご了承下さい。

Qありがとうございました。それでは次回はどのようなお話を。

A次は、まず、大学1年からの社会人入試について、説明したいと思います。