バレンタイン前に②

バレンタイン前に②

こんにちは、赤い実です。
突然ですが、和歌が好きです。
実は、結構長いこと中学生に国語を教える仕事をしてます。
その中で、万葉集・古今和歌集・新古今和歌集の
代表的な和歌に触れる機会がわりとあります。
残念ながら、おそらく私もかつてそうだったように、
14,5歳の彼らにはなかなか魅力が伝わらないのですが、
まあ、教える側としては結構楽しんでやってるんですね。
とは言え、完全に「ド素人」の気楽な鑑賞なのですが、
その中で好きなものを今日はちょっと紹介したいと思います。
時期的に恋の歌にしましょうかねー。
繰り返しますが、ドシロウトですからっ!
 「 玉の緒よ絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする 」  式子内親王
・・・命がいっそ尽きてしまったほうがいい。
あなたへの忍ぶ恋心をあまりに長い間持ちすぎていると、
その気持ちが弱まってしまうだろうから・・・
 
これは新古今和歌集に入っているもので、
その激しさに鳥肌が立ちます。
愛する人を始めの頃とおなじように、
強く深く思い続けられなくなるぐらいなら、
  死んだ方がいい。
それも、まっとうな恋ではなく「忍ぶ恋」であるのがまた激しい。
現代においてこの「忍ぶ」をどう捉えるのか。
うーん、いいですね。
「 君待つと 我が恋ひをれば 我が宿の すだれ動かし 秋の風吹く 」 額田王
・・・あなたがいつ来るか来るかと恋しく待っていたら、家のすだれがうごいた。
あなたかしら、と思ってみたら、秋の風がすだれを揺らしただけだった・・・
これは万葉集ですね。
当時は結婚のスタイルすらいわゆる「通い婚」ですから、
女性の側は基本的に「待ち」になる。
その思いが強すぎて、秋の風が揺らしただけのすだれの音にすら、
気持ちが乱れるのですね。
これは特に現代の若い世代が共感しそうです。
もちろん、若くなくてもいいのですが。
なんだか書いていたら予想以上に長くなってしまいました。
あ、ちなみに口語訳は私オリジナルなので、
学校で習ったのと違う!!
とか慌てないように。
で、何を言いたかったかというと、
恋心をはじめとした人を思う気持ちというのは、
時代を超えて伝わるものなのだな、ということです。
社会学とは、突き詰めれば、
人を思う学問だと私は思うわけです。
自己責任で済まされそうな出来事を社会的に見直してみることも、
経済的、法的、あるいは政治的、歴史的な事情により、
「どうしようもない」と思われそうな問題を別の角度から切り込んでみることも、
よくよく考えてみれば、その根底にあるのは、
人への思い
なんですよね。
だから、社会学は面白い、そう思います。
間もなくプレ学期も始まります。
是非、興味のある方はちょっと中ゼミを覗いてみてください。

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