東京都葛飾区の京成高砂駅と千葉県印西市の印旛日本医大駅を結んでいる、
北総鉄道北総線という電車があります。
ホームに陣取って写真を撮ったり、「ラスト・ラン」を見に行ったりするほど、
ちゃんとした「鉄子」ではありませんが、私も電車は好きです。
路線図を眺めてニヤニヤしたり、
海外に行くときは使う予定もないのにトーマス・クックの時刻表を持っていったり・・・
という程度には。
上記の北総線も、実際に乗ったことはありませんが路線図の中では親しみのある路線です。
その北総線で今困ったことが起きています。
昨年7月に成田への便をより良くしようという目的から「成田スカイアクセス(京成)」が開通し、
スカイアクセスは北総線の線路を使用することになりました。
それに伴い北総線自体の運賃も値上がりしました。
しかしその結果、全体の7割近くの北総線が以前よりも長い時間をかけて走ることになりました。
つまり、前よりも高い値段で前よりも長い時間をかけて移動しなければならないのです。
これは長い距離を短い時間で結ぶため、
多くの駅を通過するスカイアクセスとのバランスをとるために、
各駅停車の北総線が本数を減らされ、通過待ちを余儀なくされた結果です。
結局、沿線に住む人々の日常の足を奪うことで成田は近づいているわけです。
これは何も北総線に限ったことではありません。
大々的に開通した新青森までの東北新幹線の裏側や、
部分的であれ在来線と線路を共用するタイプの新幹線でも同じ事態が起きています。
交通網の発達は日本国内の距離を縮め、
「大事なもの」を迅速に届けることで日本の発展に寄与してきました。
しかしその一方で、本当に必要としている人々の動きを鈍らせ、
小さな村や町の衰退も引き起こして来たことも事実です。
とは言え、早く成田につけるのは便利だな、とも思います。
問題は、
「誰のために何を優先すべきで何を犠牲にするのか」
が曖昧なまま、慎重さを欠いた議論のみで、
一方的にあらゆるものが決まっていくこの国の政治のあり方そのものなのでしょうね。
NS
1月22