平衡という概念

理系人を目指す皆さんこんにちは

先週化学の授業で「化学平衡」という分野を扱いました。化学平衡をわかりやすく言えば、「進む化学反応」と「戻る化学反応」とバランスのことです。

化学ではこのような解釈になりますが、広義に平衡状態とは、いろいろな方向と強さ(大きさ)を持ついくつかの要素がすべて打ち消しあうような状態を指しています。さらに言えば、本当に止まっているのか、平衡状態にあるのか、を観測によって判断することが我々にはできない状態のことです。だから「見かけ上止まって見える」といった表現がなされるのです。

実は平衡という言葉は、化学だけではなく物理学や生物学にも存在します。下線部だけを読んでみると物理のつり合いの状態を思い浮かべることができるはずですし、生物の集団遺伝学の分野では遺伝平衡(ハーディーワインベルグの法則)という言葉もあります。10年以上前に『生物と無生物のあいだ』でベストセラーを出した福岡伸一先生も、動的平衡という言葉を使って生命とは何かという究極の問に立ち向かっています。

さて、自然現象のあらゆる側面に現れる平衡という概念ですが、社会現象を平衡で片づけようとすると(分析できるほど勉強はしていませんが・・)かなり後付け感が出てきますね。例えば流行り廃り。何か新しい服装が流行り始めると直前に流行った服装は廃れていくのが世の常です。この現象にある平衡状態とは何でしょうか。定義に基づいて「見かけ上止まったように見えている状態」だとすれば、「服を着ている」ことでしょうか。あるいは「毎年流行り廃りがループする」ということでしょうか。それでは「アバンギャルドな服装」は平衡の中からどのようにして生まれるのでしょうか。

どの部分に平衡を当てはめても後付け感がぬぐえません。そう考えてしまうのは私が理系人だからかもしれません。。。。