立教大学MBA(ビジネスデザイン研究科)の入試問題から日本を考える

立教大学のMBAコース(ビジネスデザイン研究科)では,事前課題が課されます。一筋縄ではいかない,よく練られた良問が出題されます。

今年の課題の一例をご紹介します。

「インバウンド観光」が近年急増していますが,日本の観光産業のグローバル化は「遅れている」と指摘されることがあります。あなたはこの指摘に賛成ですか,反対ですか。その理由とともにあなたの考えを述べてください。

みなさんはどう考えますか?

今,観光庁では,”「楽しい国 日本」の実現に向けた観光資源活性化に関する検討会議”を立ち上げ,デイビッド・アトキンソン氏のもとで,様々な検討会を開催しています。

観光立国を求められる背景には,日本の人口減少によるGDP低下問題があるんですよね。観光政策は人口減少問題から始まっていると指摘するアナリストもたくさんいます。

経済は,「人間の数×生産性」でまわっています。人口が減少している今,生産性をあげなければいけません。2050年には労働人口が現在の半分になるという試算があります。生産性の向上は喫緊の問題だといえるでしょう。

単純労働がロボットに置き換わることで生産性はあがるという話もありますが,ロボットは欲求がないため,需要が減り続けるという悪循環を招きかねません。

生産性とは,付加価値を国民の総数で割ることで指標化されるものです。たとえば,付加価値を100としてそれを10人で割ったら生産性は10であると考えます。そして,人口がどんどん減るわけですから需要減で付加価値が落ち込むことは明らかです。

では,どうやって生産性をあげていかなければいけないのでしょうか。

いくつか見解はありますが,一番手っ取り早いのは高付加価値のものを生み出していくことです。その1つが観光産業にあると言われています。

世界銀行の調査では,訪日観光客による観光収益は世界第21位となっています。GDP比4%程度です。他の先進国は約10%に達しています。

なぜそんな結果になっているのか。原因の多くは,日本人の勘違いにあるとデイビッド・アトキンソン氏は指摘しています。

たとえば,日本が「売り」にしているのは「おもてなし」。「おもてなし」を求めて,飛行機に乗って日本にやってくる物好きはいないでしょうw

たとえば,富裕層の扱い。日本には一泊数百万するレベルの富裕層が求めるホテルがないと言います。富裕層はホテルがないなら,日本に来たくないそうです。

その他,ここで語りつくせない論点がたくさんあります。MBA大学院では,そういった日本が抱える問題点から,新たな経営戦略を策定する研究も行われています。

課題が山積みの日本。問題でもあり,チャンスでもあり。どう捉えるのが正解なのか。しっかりと勉強してみませんか?

大学院受験予備校 中央ゼミナール MBA受験コース

カテゴリー: 研究領域 パーマリンク