企業の社会的責任 ”計画倒産”とは?

正月早々、衝撃的な事件が起こりましたね。

■はれのひ株式会社

神奈川県横浜市のはれのひ株式会社(以下、はれのひ)が、成人式の日に”計画倒産”した事件です。正確にいうとまだ倒産にいたっていないのですが、再起はないでしょうから”事実上の倒産状態”です。

はれのひは、2008年に創業された会社で「振り袖レンタル&フォトの専門店」を展開していました。振り袖のレンタルですから、当然、成人式に利用する人が大勢いたわけです。そのお店が成人式当日に音信不通になるなんて。ちょっと考えられないですよね。

200名を超える新成人の方々が大変な思いをしたようです。

余談ですが、多くの人がそんな新成人を助けようとSNSを通じて情報発信していました。”晴れ着難民”になってしまった新成人の方たちは、なんとかしようと激しい情報戦に巻き込まれてしまったようです。今の時代ならではのトピックスですよね。

■企業には社会的責任がある!

はれのひは、ほぼ間違いなく倒産という末路をたどるでしょう。では、お金を払い込んである人や、祖母の代からの大切な着物を預けてある人は弁済されるのでしょうか?
(預けてある着物ごと、店はあとかたもなく消えていたそうですから)

答えはNOです!おそらく弁済はされません。

企業が清算を行うとき、残されている資産で、可能な限り負債をまかなうことになるわけですが、銀行等の優先順位が高く、顧客の財産は後回しになります。倒産してしまうくらいですから、当然、銀行等への弁済だってままならない状態です。残念ながら顧客が一番損をしてしまう結果になることが非常に多いのです。

企業には社会的責任があります。いただいた対価に対して、責任を持って約因を提供する必要があります。そこが軽視されてしまうと我々は何も信じることができなくなってしまいますよね。

今回のケースのように、資金ショートしてしまい、どうしても立ち行かなくなってしまった場合は、それなりの対応をしなければいけません。どんなに小さく見積もっても、新成人の人たちには、当日のサービスが提供できなくなったことを、事前に連絡すべきでした。

前触れは何もないまま、大切な日に音信不通になるなんて、責任放棄にもほどがあると思います。事情は色々とあったのでしょうが、完全にアウトですね。

■計画倒産と言われるわけ

計画倒産とは、読んで字の如く、最大限の資産を保全した状態で計画的に会社を倒産させることです。多くの場合は、負債を可能な限り膨らませることで資産を限界まで増やし、その資産をうまいこと保全した状態で、バックレてしまいます。”ひらきなおる”という表現の方が適切でしょうか?

詐欺に近いですよね。返せないことが分かっていて借入まくる。約因提供できないことが分かっていて前受金を受け取る。

はれのひは、どうやらこのケースのようです。

よく抱き合わせで語られるのが、株式会社てるみくらぶの事件ですよね。ただし、こちらの企業はバックレはしなかったので、まだ少しだけマシかもしれません。もちろん消費者へ何もケアができませんでしたけど。連絡はまわしましたよね。

■キャッシュフローの分析が大切

「はれのひ」も「てるみくらぶ」も、前受金を前提としたビジネスモデルであったことが資金ショートの原因の1つです。もちろん市場の変化や新しい規制の問題など、ビジネスモデルの根幹を崩す制御不能な要因も様々ありますが。
(てるみくらぶは、LCCの参入や航空機の小型化がそのビジネスモデルを崩壊させていたんですよね)

MBAではファイナンスに関することも学ぶことができます。キャッシュに関する知識や分析力は非常に重要です。

費用と収益は対応させることが原則です。はれのひの取引先がインタビューに応えて、
「だんだんと支払いが滞るようになった」
と証言していました。つまり、お金が入ったらどんどん使って、足りなくなったら、新たな前受金を集めるというサイクルをしていたのでしょう。

今までは、
必要な資金 < 前受金
だったのが、どこかで、
必要な資金 > 前受金
となってしまい、内部留保を食いつぶしてしまったのでしょう。

そして、開き直って、資産を処分することで最後のキャッシュを作り出し、音信不通となる。

よくないですね。。。

でも!

起業にチャレンジして失敗する個人事業主の人がこのパターンに陥ってしまうことって多いんですよ。悪気なくても気がつくと、はれのひと同じサイクルにハマってしまうようです。

お金を持つと、いくらまでなら使っていいのかが見えなくなってしまうんですね。。。

やはり、ビジネスはしっかりとした知識をもって挑まなくてはならないという教訓ではないでしょうか。

ものすごくざっくりと表現すると、ビジネスは「誰かの悩みを解決する」ために存在しているのです。つまり、どんなビジネスも「誰かの悩み」に対する責任をもっているといえます。

特に起業を目指している方は、MBA大学院に進学して「何を考えなければいけないのか」をしっかりと学んで欲しいと思います。

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